臨床薬理の進歩 No.47
78/342

方  法関連を評価するため、低侵襲に交感神経活性を測定す る こ と が で き る 皮 膚 交 感 神 経 活 動 記 録 (skin sympathetic nerve activity:SKNA)と血圧、 立位・臥位の体位変換の関連について解析し、 これらの課題解明に取り組んだ。対象患者および研究デザイン 2005 年 1 月〜 2012 年 5 月に外来患者 4310 例を登録した高血圧患者に対する臨床試験「日本人 における家庭血圧の心血管予後推定能に関する 研究(J-HOP 研究)」および 2015 年 12 月〜 2023 年8 月に外来・入院患者 4847 例を登録した臨床研究 「心血管病・高血圧の病態把握に有用な血液学的 マーカーの探索(バイオマーカー研究)」に参加した 高血圧患者を対象とした。これらの高血圧患者の うち、わが国で行われた治療抵抗性高血圧に対 する腎デナベーションの治験である SYMPLICTY HTN-Japan 10) の 自 施 設 登 録 症 例 7 例 に つ い て、 J-HOP 研究およびバイオマーカー研究における 副次評価項目である自由行動下血圧測定による 24 時間収縮期血圧および昼間収縮期血圧、夜間収縮期血圧を評価した。また 12 誘導心電図における Sokolow-Lyon の基準(SV1+RV5)により左室肥大 所 見 を 評 価 し た。SYMPLICTY HTN-Japan は 利尿剤を含む 3 剤以上の降圧薬を使用しても診察室収縮期血圧 160mmHg 以上かつ 24 時間平均収縮期 血圧 135mmHg 以上の患者を対象とし、腎デナベーション手技は第 1 世代高周波デバイス Symplicity RDN System(Medtronic 社)を使用して施行されたが、SYMPLICITY HTN-3 の negative な結果を受けて登録途中で中止された 10)。 SKNA 研究では自治医科大学附属病院の外来へ通院中の 20 歳以上の高血圧患者 142 例が参加 した。妊娠、透析、担癌、認知機能障害および 62ている。降圧機序として、遠心性腎神経を除神経することによるレニン分泌抑制、ナトリウム再吸収抑制、腎血流量増加および求心性腎神経を除神経することによる中枢を介した全身への交感神経出力の抑制などが想定されている。デナベーション手技としては、主に高周波アブレーション、超音波アブレーションがあり、いずれも腎動脈内腔より経カテーテル的に除神経する。これまでに発表されたシャム群を設けた無作為比較試験メタ解析の結果、腎デナベーションによる明確な降圧効果が示された 5)。また、腎デナベーション手技の合併症や腎機能に対する安全性にも問題なく、最低3 年の降圧効果の持続性も示された 6〜8)。 これらのエビデンスの蓄積により、欧州では CEマークを取得、欧州高血圧学会 2023 ガイドライン、 欧州心臓病学会 2024 ガイドラインではコントロール不良高血圧に対する腎デナベーションが ClassII で推奨、2023 年 11 月米国ではコントロール不良 高血圧に対する補助治療の位置付けで超音波および高周波デバイスが米国 FDA の承認を取得した。さらに、わが国においても 2025 年 8 月 25 日に 超音波デバイス、9 月 1 日に高周波デバイスが治療抵抗性高血圧を適応症として医療機器承認された。 しかしながら、腎デナベーションの 3 年を超える降圧効果の持続性や臓器保護効果、腎デナベーションが有効なレスポンダーの識別などが未解明 の課題である。最近、腎デナベーションによる降圧 効果が、起立性高血圧を伴う高血圧患者で顕著であることが報告され 9)、起立性高血圧を伴う 高血圧患者では交感神経が過度に上昇しており、 腎デナベーションのレスポンダーである可能性が示された。本研究では高周波デバイスによる 腎デナベーションを施行した自施設の高血圧症例 を 8 年間追跡し、腎デナベーションの長期効果を評価した。また腎デナベーションのレスポンダーとなり得る起立性高血圧と交感神経活動の

元のページ  ../index.html#78

このブックを見る