臨床薬理の進歩 No.47
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追  記謝   辞利益相反の投与前から長期的に PPI を用いることで抗 VEGF薬の治療効果を向上できる可能性が示された。また、治療開始の何日前から PPI の使用を開始すれば治療効果に影響するかについては更なる検討が必要である。 そこで、基礎研究によって PPI が VEGF を誘導する詳細なメカニズムを検討した。その結果、PPI 曝露による VEGF の誘導作用はいずれのがん細胞においてもみられたが、ER 阻害剤によるVEGF の誘導作用の抑制は大腸がん細胞以外のがん細胞ではみられなかった。特に肺がん細胞では ERのノックイン細胞とノックアウト細胞のどちらの細胞においても ER 阻害剤による VEGF 発現の誘導の抑制はみられなかった。また、ER の阻害による直接的な細胞増殖抑制作用はみられなかった。このことは、大腸がんは他のがん種と異なりエストロゲンの曝露が予後良好因子である 9,10)こととも関連している可能性がある。また、これらの結果から、いずれのがん種においても ER に依存しない VEGF発現誘導メカニズムが存在しているが、大腸がんでは ER を介した VEGF 発現誘導機構も存在している可能性が示された。 VEGF の誘導には非常に多くの因子が関与している。そこで、PPI が VEGF 発現を誘導するメカニズムにおける ER 非依存的なメカニズムの網羅的探索を行った。大腸がん細胞と肺がん細胞にPPI やボノプラザン、ER 阻害剤などを曝露した際の遺伝子発現 RNAseq を用いて網羅的に探索し、遺伝子変動の差異について IPA 解析を行った結果、ER との直接的な関連はないが VEGF 誘導に関与している可能性がある遺伝子として P-element-induced wimpy testis 4 (PIWIL4)遺伝子を見出した。この遺伝子はがんの転移や浸潤、増殖の制御に関わっており、がん幹細胞との関連性も指摘されている 14)。 現在はこの遺伝子を変動させる可能性がある薬剤を探索し、それらの薬剤が VEGF を誘導する作用大腸がん患者を対象とした抗 VEGF 療法の治療効果向上を目指した胃酸分泌抑制薬の最適化を有するか、抗 VEGF 薬の治療成績に影響しているかについて検討を進めている。特に大腸がんにおいては ER を刺激することで治療効果を向上できる可能性があるため、エストロゲンに作用する可能性がある薬剤についても更なる検討を進めている。 がん化学療法に用いられる支持療法薬は多岐にわたるが、大部分の同種同効薬について化学療法薬の治療効果への影響についての検討は進んでいない。高齢がん患者は世界的に増加しており、多様な基礎疾患の治療薬を抗がん剤と併用する患者は増加するため、医薬品の相互作用による治療効果への影響の検討はより重要になる可能性がある。本報告では最適な胃酸分泌抑制薬を選択することで、がん化学療法の治療成績が向上する可能性を示したが、これらの研究結果を臨床で活用できるエビデンスとするには、より詳細な作用メカニズムを解明し、大規模な臨床研究を実施する必要がある。 この研究で調査している胃酸分泌抑制薬を始めとした薬剤は、いずれも既に臨床で使用されているため、研究で得られた成果は迅速に臨床応用に繋げられる。本研究結果を踏まえて、今後も最適な薬剤についてのエビデンス構築を進めていくことで、がん化学療法の治療効果の更なる向上を図りたい。 本報告内容は、現在論文投稿中である。 本研究を遂行するにあたり、助成いただいた臨床薬理研究振興財団に深く感謝申し上げます。 本研究に関し、開示すべき利益相反はありません。59

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