臨床薬理の進歩 No.47
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*1 Yasui Hideki はじめに要   旨目的 特発性上葉優位型肺線維症(iPPFE)は、上肺優位の線維化とるいそうを特徴とする予後不良で標準治療が未確立の希少疾患である。本研究では、iPPFE に対するがん悪液質治療薬アナモレリンの有効性および安全性を検討した。方法 iPPFE 患者にアナモレリン 100 mg を 8 週間投与し、FAACT スコアによる食欲・悪液質の程度、体重、除脂肪体重、栄養指標を評価した。加えて、呼吸器症状や筋力に対する効果も検討した。結果 15 例が試験を完遂し、成長ホルモンとインスリン様成長因子 1 の上昇とともに、食欲・悪液質、体重、除脂肪体重、栄養指標が有意に改善した。息切れ、呼吸器関連 QOL、握力の改善も認めた。有害反応は 3 例でみられたが、いずれも非重篤で新たな安全上の懸念は認められなかった。結論 アナモレリンは iPPFE に伴う悪液質の改善に有効であり、ドラッグリポジショニングによる新たな治療選択肢となる可能性が示唆された。Key words:特発性上葉優位型肺線維症、アナモレリン、悪液質、栄養状態、ドラッグリポジショニング浜松医科大学医学部附属病院臨床研究センター特発性上葉優位型肺線維症(iPPFE)に対するアナモレリンの有効性と安全性の検討Efficacy and safety of anamorelin in patients with idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis (iPPFE)43  特 発 性 上 葉 優 位 型 肺 線 維 症(idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis:iPPFE)は、我が国から世界に先駆けて報告され 1)、2013 年に米国胸部学会 / 欧州呼吸器学会による特発性間質性肺炎の分類において、新たな疾患群の 1 つとして位置づけられた間質性肺疾患である 2)。上葉優位な肺組織の線維化と、胸膜および胸膜直下の著明な弾性線維増生を特徴とし、進行性に呼吸機能が低下して呼吸困難が生じ、生活の質(QOL)の低下を引き起こす。胸部 X 線や CT 画像上では上肺野の線維化と肺容量の減少を呈し、病理学的には胸膜および胸膜直下の弾性線維増生と肺胞構造の破壊を認める(図 1)。診断後 5 年生存率は 40%未満と極めて予後不良な難病であり 3)、2023 年には指定難病である特発性間質性肺炎の疾患カテゴリーの 1 つとして追加されている 4)。 iPPFE に対する治療として、ステロイドや免疫抑制剤、あるいは特発性肺線維症の標準治療薬であるニンテダニブなどの抗線維化薬が検討されてきたが、いずれの薬剤も明確な有効性は明らかでなく、現時点で標準治療法は確立していない 5,6)。現在の治療は、低酸素血症に対する酸素療法や、咳嗽や不安に対する鎮咳薬や抗不安薬投与などの対症療法にとどまっており、unmet medical needsとなっている。 iPPFE 患者では、著明な体重減少、皮下脂肪安井 秀樹*1

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