機能することが知られている。HAM 患者の感染細胞における Fosl2 のパートナー因子を推定するために、Fosl2 ChIP-seq データによりモチーフ解析を行ったところ、Fosl2 と共に最もアクセスしていた因子は c-Jun であった(図 4B)。そこ で、Fosl2、c-Jun、HTLV-1 Tax が HAM 特異的 OCR への結合を介して MAP3K8 の転写を増幅するか、ルシフェラーゼを用いたエンハンサー効果の検討を行った。MAP3K8 プロモーターは転写開始点から- 918 bp から +178 bp であることが報告されている。MAP3K8 プロモーターの 上 流 に HAM 特 異 的 OCR の 塩 基 配 列 で あ る457 bp を挿入すると、著しい転写活性の増幅が確認された(図 4C)。エンハンサー領域の向きは、転写の増幅に影響しないことがエンハンサーの定義とされる。HAM 特異的 OCR を MAP3K8プロモーターの上流に逆向きに挿入しても転写活 性 の 増 幅 量 は 同 様 で あ っ た。 興 味 深 い こ とに、c-Jun と同じく AP-1 のパートナー分子である JunB、BATF、BATF3 を Fosl2 と 共 に 導 入しても、MAP3K8 のエンハンサー活性は全く認め ら れ な か っ た。 す な わ ち、Fosl2 と c-Jun の組 み 合 わ せ が、 こ の HAM 特 異 的 OCR を 介 した MAP3K8 のエンハンサー活性に必須であることが明らかとなった。ここにさらに HTLV-1 Tax を導入すると、爆発的なエンハンサー活性の増幅が認められた(図 4D)。HTLV-1 Taxは、Fosl2 および c-Jun を誘導することが報告されていることから、HTLV-1 Tax が HAM 特異的 OCR のトリガー因子である可能性を考え、正常 CD4+T 細胞にレンチウイルスベクターを用いて MAP3K8 遺伝子を導入して 1 週間の培養後、ATAC シークエンス(ATAC-seq)によりクロマチンアクセシビリティを評価した。その結果、Tax の導入により HAM 特異的 OCR が形成されることが明らかとなった(図 4E)。38正常 CD4+T 細胞に MAP3K8 遺伝子を導入すると、T-bet、IFN-γの誘導による Th1 への分化誘導が確認された(図 2F)。HAM におけるMAP3K8の転写誘導因子の探索 HAM に お け る MAP3K8 の 発 現 機 序 を 検 討す る た め に、HAM 患 者 の PBMC か ら CD4/CADM1/CD7 を用いて HTLV-1 感染細胞をソーテ ィ ン グ し、 さ ら に シ ン グ ル セ ル マ ル チ オ ームの追加解析を実施した。31633 細胞からなるHAM 患者のシングルセル遺伝子発現およびクロマチンアクセシビリティデータを解析した結果、MAP3K8 の発現量により感染細胞集団が 2 つの異なるクラスターに分類されることが明らかとな っ た(図 3A)。 MAP3K8 を 高 発 現 す る 感 染細 胞 は IFNG お よ び TBX21 を 含 む 炎 症 関 連 遺伝子の高発現を特徴としていた(図 3B-C)。これらの細胞集団間における転写因子の使い分けを評価するために、ゲノムアクセシビリティ解析を実施した。その結果、MAP3K8 発現の高い集団では、MAP3K8 発現の低い集団と比較して14 個の転写因子がゲノムにアクセスしやすい状況であることが判明した(図 3D)。この中で最も MAP3K8 の発現量と相関の高い転写因子として、FOSL2 を同定した(図 3E)。したがって、FOSL2 が MAP3K8 の転写に寄与する可能性が考えられる。そこで実際に Fosl2(FOSL2 タンパク質)が MAP3K8 遺伝子座のどこに結合しているか、Fosl2 抗体を用いて ChIP シークエンス(Fosl2 ChIP-seq) を 行 っ た。 そ の 結 果、HAM特異的な OCR に Fosl2 が強く結合していることが判明した(図 4A)。さらにウイルス因子である HTLV-1 Tax 自身はゲノムへの直接的な結合能はないが、この HAM 特異的 OCR に局在していることが明らかとなった(図 4A)。Fosl2 はヘテロダイマーを形成することで AP-1 として
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