近年、多くの国でも原材料の供給不足による世界的なインフレ(物価上昇)が進んでおります。原材料価格の高騰が、物価高の主な要因の1つです。わが国でも2020年以降、コロナ禍での物流の混乱、世界情勢の不安定、エネルギー原材料価格の高騰、円安、人手不足・賃上げなどの影響を強く受けております。物価の高騰、医薬品、試薬、機器の輸出入の遅延など、研究にも多大な影響をもたらしていることと推察いたします。また留学も大変なご苦労をされたことと思います。こうした中で、各報告書に、臨床薬理研究振興財団の研究助成に対する謝辞が明確に記載されていたことも、皆様のご苦労と感謝の気持ちの表れで、とても印象的でした。 臨床薬理研究振興財団が交付する研究奨励金の募集には毎年100を超える応募があり、厳正な審査の結果、約20課題が選ばれておりました。財団のご高配により、2023年度(第48回)より、27課題に増枠されました。本編には、2023年度(および2022年度)研究奨励金による研究報告が28編、および海外留学助成金報告が2編、掲載されております。研究報告書には、2年間の研究期間に得られた研究成果が記載されておりますが、多くの交付対象者は応募時の研究目的を達成するために努力したものと思われます。編集委員会で各報告書の内容を審査し、必要に応じて著者に確認し、訂正しました。研究分野は多岐にわたり、病態や副作用の機序解明を基盤にした治療法や診断法の開発に貢献するものであり、特に、5編の大賞受賞研究は先端的な臨床薬理学研究と言えるものでした。海外留学助成金による2編の報告は、循環器疾患の病態および治療標的の解明に関わる研究成果を国際誌に公表されるなど、いずれも臨床薬理学に貢献する成果をあげておられます。 最後に、編集作業を通して、本助成が、研究者の大きな励みとなり臨床薬理学の発展に貢献していることを改めて実感することができました。本号より財団ホームページを通じてのデジタル形式でのご提供となりますが、是非、ご一読いただき、今後の医療・健康にかかわる研究の参考にしていただけると幸いです。2026 年 5 月大戸 茂弘ま え が き
元のページ ../index.html#5