臨床薬理の進歩 No.47
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※ Mitogen-activated protein kinase kinase : 細胞の増殖、分代、生存に関わるシグナルを伝えるリン酸化酵素の一種*1 Nakashima makoto 聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター*2 suzuki Yutaka *3 uchimaru kaoru 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 病態医療科学分野*4 Yamagishi makoto 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 病態医療科学分野、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 感染症ゲノム腫瘍学分野*5 YamaNo Yoshihisa 聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター、聖マリアンナ医科大学 脳神経内科学はじめに要   旨目的 本研究では、「HTLV-1 関連脊髄症(HAM)において HTLV-1 感染細胞に特異的なクロマチン構造異常が生じ、炎症促進遺伝子の異常活性化を介して病態形成に寄与する」と仮説を立て、その仮説の検証と分子機序に基づく新規治療戦略の構築を目的とした。方法 シングルセルレベルでのトランスクリプトーム解析およびクロマチンアクセシビリティ解析、ならびにHAM における疾患活動性バイオマーカーとの統合解析を実施した。結果 HAM の炎症を促進する因子として MAP3K8 を同定した。その下流シグナルである MEK ※ の特異的阻害剤は HTLV-1 感染細胞や HTLV-1 Tax 特異的 CTL の増殖および炎症性サイトカイン産生量を著しく抑制した結論 HAM におけるウイルス – 宿主相互作用に基づく新たな分子病態機構を提示するとともに、MAP3K8–MEK–ERK 軸が本疾患に対する有望な治療標的であることが明らかとなった。しうることから、クロマチンダイナミクスは生体恒常性の維持に不可欠である 3)。 本研究では、疾患における異常なクロマチンリモデリングの研究モデルとして、ヒト T 細胞白血病ウイルス 1 型(HTLV-1)関連脊髄症(HTLV-1-associated myelopathy:HAM) に 着 目 し た。HTLV-1 は世界で推定 500 万〜 1000 万人が感染しており、そのうち約 5% が成人 T 細胞白血病 / リンパ腫(ATL)を、0.3 〜 3% が HAM を発症する 4)。HAM では感染細胞がヘルパー T 細胞 1 型(Th1)様の異常形質を獲得してポリクローナルに拡大する一方、ATL では制御性 T 細胞(Treg)様の表Key words:HTLV-1 関連脊髄症、 HTLV-1、クロマチンリモデリング、エンハンサー、MEK 阻害剤東京大学大学院 新領域創成科学研究科附属生命データサイエンスセンターHAM におけるクロマチン構造異常を介した炎症促進機序の解明と新規治療法の開発Chromatin remodeling enhances MAP3K8 expression in HAM: a key pathogenesis for therapeutic intervention34 ATP 依存性クロマチンリモデリングは、クロマ チンの高次構造を改変することで転写因子のアク セシビリティを制御し、転写調節に決定的な役割 を果たす 1,2)。ヒストン修飾、ヒストンバリアント の組み込み、ヌクレオソームの再配置といった機 構を介してクロマチンリモデリングは、細胞運命 制御や細胞分化に応じてオープンクロマチン領域 (Open Chromatin Regions : OCR)の形成を動的に 規定する。この制御機構の破綻は異常な遺伝子発現プログラムを惹起し、組織恒常性の破綻に直結 中島 誠*1 鈴木 穣*2 内丸 薫*3 山岸 誠*4 山野 嘉久*5 

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