写真 6 家族旅行の一コマ スイス・マッターホルンにてが問われます。その点において、全くのゼロスタートから、裸の自分の内にあるものを総動員して駒を少しずつ進めていく日々は、冒険感に満ち溢れています。 また、様々な国の人たちとの交流を通して、客観的でグローバルな視点から物事を考察するようになり、自分の中にこれまではなかった新しい物差しが増えたような気がします(写真 5)。例えば、日本の文化・言語の独自性、日本の医療・研究の良さや問題点についてはもちろんのこと、研究分野で世界をリードし続けるアメリカや急成長を遂げている中国のこと、活発化する国際研究ネットワークの中で日本が生き残るための術、留学を含む人的国際流動が社会に与える本質的な意味、それから移民政策や英語教育のあり方など、枚挙にいとまがありません。家族でのドイツ生活 家族が一緒に渡航する場合、人数が増えるほど現地で直面する困難も当然多くなります。我が家も例外ではなく、妻も子ども 2 人もそれぞれカルチャーショックを経験し、渡航当初はなかなか新しい生活に慣れず苦労した時期がありました。妻はドイツ語学校に通いはじめ、子どもたちも幼稚園や小学校の先生方の助けを借りながら少しずつ適応していきました。今では 3人ともドイツ語を流暢に話し、帰国後も交流を続ける大切な友人がそれぞれにできたことは、何にも代えがたい財産となりました。 私自身は平日、帰宅後も勉強や書類仕事に追われることが多かったため、休日は意識的にリフレッシュするようにしていました。家族で近くの公園に出かけたり、車で少し足を延ばして観光地を訪れたり、時には飛行機で近隣諸国を旅行することもありました。フランクフルト国際空港からはヨーロッパ各地へ直行便が多く、気軽に家族旅行を楽しめたのは留学生活の大きな醍醐味の一つです(写真 6)。家族での海外生活には多くの困難が伴いますが、それを共に乗り越え、現地での喜びや発見を共有できたことは、私たち家族にとってかけがえのない経験となりました。おわりに 私は、最初から留学をしたいという明確なビジョンを持っていたわけではなく、他の選択肢284
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