考 察主要なメタボロミクス所見の要約 後方視的発見コホート研究において、肝移植後5 ~ 30 日間に約 10%の頻度で発生する AR を予測する胆汁および血清代謝物を同定するため、POD1胆汁サンプルと POD14 血清サンプルを用いたノンターゲットメタボロミクスを実施した。診断指標として RAI を用いた。二値予測のためのロジスティック回帰モデルにより、AR 予測に有用な胆汁代謝物を同定した。また、連続変数予測モデルにより、RAI 予測に有用な血清代謝物を同定した。急性拒絶反応の早期予測因子としての胆汁代謝物 AR の二値予測モデルにおいて、代謝物 A と代謝物 B が、胆汁代謝物群から主要変数として選択された。拒絶反応群の POD1 胆汁では、非拒絶群の POD1 胆汁と比較し、代謝物 A が増加した一方、代謝物 B は減少した。AR は通常 POD5 ~ 14 日に発生するため、POD1 胆汁中のこれらの胆汁代謝物は拒絶反応発症前の予測を可能にする可能性がある。拒絶反応を反映する血清代謝物 RAI の連続変数予測モデルにおいて、代謝物 C、D、E が血清代謝物群の主要変数として選択された。 拒絶反応症例の POD14 血清では、代謝物 C が増加し た 一 方、 代 謝 物 D と E は 非 拒 絶 反 応 症 例 のPOD14 血清と比較して減少した。これらの代謝物は、拒絶反応の重症度評価における現在のゴールドスタンダードである RAI に代わる診断指標として有用である可能性がある。モデル性能と検証 少数のサンプルサイズを用いて、AR および RAI の予測モデル開発を目的とした探索的コホート研究274RAI 予測のための血清メタボロームモデルの開発 後方視的発見コホート研究において、肝移植患者から採取した POD14 血清保存検体に対し、ノンターゲットメタボローム解析を実施した。メタボロームデータを用い、拒絶群と非拒絶群のグループ比較を行った。これらの群を区別する主要な代謝特徴を選択するために、PLS-DA ベースの手法を用いた。有意な代謝特徴は、陽イオンモードおよび陰イオンモードにおけるピーク ID とその強度に基づいて評価された。その結果、血清サンプルからの代謝特徴が選択された。 LASSO および RF 回帰分析を独立して用いて、これらの代謝物から RAI の連続変数予測モデルを開発した。LASSO と RF においてそれぞれ最高性能を示したモデルを構築した。構築したモデルについて発見コホートで交差検証を実施した。この結果は全データセットで訓練したモデルに比べ性能が低いものの、一定の予測能力を維持していた。これは本モデルが予測ツールとして実用化の可能性を有することを示唆している。 胆汁メタボロミクス手法に基づき、代謝物について化合物抽出を実施した。その結果、代謝物 C、 代謝物 D、代謝物 E がランク A(最も可能性の高い同定)として抽出された。選択された代謝物の個別評価 上記の予測モデルは、多変量解析により選択された代謝物の組み合わせを用いて構築された。最終的に、胆汁モデルと血清モデルの代謝物を個別に評価したところ、群間で統計的に有意な差を示さないものもあった。これは、それらの関連性が単独の効果ではなく、組み合わせたパターンにあることを示唆している。
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