臨床薬理の進歩 No.47
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追  記謝  辞利益相反急性リンパ性白血病細胞株バンクの薬剤耐性の機序解明とその克服を目指した研究株の細胞周期の進行と正の相関を示す複数の遺伝子を同定した。これらのうち、HDAC2・CDC23・YWHAG・MAD2L1・CDC6・RBX1 の 6 遺伝子はがんの細胞周期の進行に関与していることが既に報告されている。他の 4 遺伝子(CCNH・ANAPC7・ANAPC5・ORC3)は腫瘍形成への関与に関する報告はないが、機能的には細胞周期の進行に関連しているようである。一方、CCND2 遺伝子は細胞周期の進行と有意な負の相関を示した。しかし、CCDN2の発現が高い(TPM 値> 5)15 細胞株中 11 株はBCR::ABL1 株であり、これらの細胞株ではBCR::ABL1タンパク質のチロシンキナーゼ活性によってサイクリン D2 が増加する 10)。以上より、詳細な検討が必要なものの、これらの遺伝子の少なくともいくつかは、BCP-ALL 細胞株、ひいては in vivo の BCP-ALL 細胞の細胞周期の進行に関与している可能性がある。 診断時または再発時に樹立された細胞株の遺伝子発現プロファイルの比較では、再発時株で有意な複数の遺伝子を同定した。これらの遺伝子のうち、臨床検体でも同様の傾向を認めた SP6・CCNE1・HIST1H2BH・DECR2・EVI2B・SYN1 の 6 遺伝子は、興味深いことに、腫瘍の進行に関与している可能性が報告されている。よって、詳細な検討が必要なものの、これらの遺伝子の少なくともいくつかは、BCP-ALL の病勢の進行あるいは再発症例の病態に関与している可能性がある。 最後に、本研究の解析過程においてこれまでに報告のない新規の ACIN1::NUTM1 陽性 ALL 細胞NUTM1-R 陽性 ALL は乳児 ALL の主要なサブタイプであるものの、症例数が少なく細胞株も存在しなかったため、その生物学的特性はほとんど解析されてこなかった。本研究では、KOPN32・ACIN1::NUTM1 誘導亜株・臨床データを複合的に解 析 す る こ と で、ACIN1::NUTM1 陽 性 ALL が持つ普遍的な生物学的特性に言及した。さらに、本研究では初めて ACIN1::NUTM1 陽性 ALL の薬物療法特性を解析した。特に、KOPN32 は ALLの寛解導入療法薬である DNR と VCR に対する良 好 な 感 受 性 を も つ こ と が 示 さ れ、 こ れ はNUTM1-R 陽性 ALL が寛解導入療法への反応性が高いという臨床的経験 9)と一致する点でも非常に重要な知見であった。さらに、KOPN32 は Chk1阻害薬に対して高い感受性を示すことを見出し、Chk1 阻害薬が NUTM1-R 陽性 ALL に対する特異的治療薬になる可能性についても報告した。  本 研 究 は Cancer Medicine 誌 11) お よ び British Journal of Haematology 誌 8)に発表した。 本研究の実験および結果解釈について渡邊敦先生・友安千紘先生・今村俊彦先生・小栗聡先生・岩崎澄央先生・豊嶋崇徳先生・谷田部恭先生に、本研究に使用した細胞株の提供について杉田完爾先生・後藤裕明先生・峯岸正好先生・岩本彰太郎先生・稲葉俊哉先生・北條洋先生・前田裕弘先生・佐藤裕子先生・Thomas Look 先生・岡部聖一先生・遠藤幹也先生・滝田順子先生に、また本研究の支援について公益財団法人臨床薬理研究振興財団に陳謝申し上げます。 本研究に関して開示すべき利益相反関係にある企業などはなし。株 KOPN32 を偶発的に同定することに成功した。251

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