臨床薬理の進歩 No.47
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*1 Tajiri KazuKo はじめに要   旨 これまでの研究から、宿主の免疫活性と irAEの発症との間に関連があり、血清サイトカインが irAE の予測因子として機能する可能性があることを示唆されている 2,3)。ICI 投与前の低 IL-6 値やICI 投 与 後 の IL-6 の 上 昇 が irAE の 発 症 と 関 連 していることが報告された 2)。また、irAE を発症 し た 肺 が ん 患 者 で は、 ベ ー ス ラ イ ン の IL-1β、IL-5、IL-12p70、IL-10、 お よ び IL-8 の 高 値 や、G-CSF の低値などのサイトカイン異常が観察された 3)。このように、ICI 開始前および開始後の血清サイトカイン値は、その後の irAE の発症と相関している可能性があるが、心筋炎における検討はなされていない。目的 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)関連心筋炎は致死的な免疫関連有害事象であるが、その発症メカニズムは十分に解明されておらず、有効なバイオマーカーは存在しない。本研究の目的は、ICI 心筋炎発症の背景を患者血清中サイトカインや自己抗体の網羅的解析により明らかにすることである。方法と結果 本研究は ICI 心筋炎 6 例と ICI 治療後に心筋炎を発症しなかった 10 例の対照群を比較検討した。ICI 投与前のサイトカインプロファイルは群間で異なり、G-CSF、IL-6、CXCL13 を含む 43 種類のサイトカインが心筋炎群で有意に高値、IL-10 は低値であった。ICI 治療後には CXCL13、IL-6、レプチンを含む 23 種類のサイトカイン値が心筋炎群で対照群より有意に高値であった。自己抗体の網羅的解析を行った ICI 心筋炎患者 3 例全員から Notch シグナル関連核内転写因子 RBPJ に対する自己抗体が検出された。結論 ICI 心筋炎の発症時にはサイトカインプロファイルが劇的に変化することが明らかになり、投与前の免疫異常や ICI 治療に対する反応性の亢進が心筋炎発症に寄与している可能性が示唆された。さらに、抗 RBPJ 抗体が ICI心筋炎の発症リスクやメカニズムに関連する可能性が示唆された。Key words:免疫関連有害事象、心筋炎、免疫チェックポイント阻害薬、サイトカイン、自己抗体国立がん研究センター東病院 循環器科免疫チェックポイント阻害薬関連心筋炎のサイトカイン・自己抗体プロファイリングCytokine and autoantibody profiling of immune checkpoint inhibitor-associated myocarditis12 免疫チェックポイント分子(CTLA-4 や PD-1など)は抑制性共シグナルを伝達することによって免疫細胞の活性化を抑制し、自己に対する免疫寛容状態の維持や免疫反応の収束を行い、免疫応答の 恒常性を維持している分子群である。免疫チェックポイント阻害薬(ICI)により抗腫瘍免疫が活性化され抗腫瘍効果がもたらされる一方、免疫細胞の賦活化によると考えられる免疫関連有害事象(irAE)の発生が問題となっている。irAE の中でも心筋炎は 20 〜 50% が致死的となるため病態の解明が急務である 1)。田尻 和子*1

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