臨床薬理の進歩 No.47
240/342

123456考  察表 2 TOF および M9 血中濃度と炎症指標症例TOF 用量補正 AUC0-4(ng·h/mL per mg/kg)1332.01580.61577.6814.3521.1483.6TOF: tofacitinib、 AUC: area under the concentration-time curve、 IL: interleukin.M9 用量補正 AUC0-4(ng·h/mL per mg/kg)388.3394.5492.6413.4292.8112.1IL-6 濃度(pg/mL)9.770.831.547.936.152.21IL-1β濃度(pg/mL)<0.16<0.16<0.16<0.16<0.16<0.16とは有意な相関を認めなかった(図 1)。 本研究における潰瘍性大腸炎の 6 症例は、研究採血時点において臨床的寛解あるいは中等症であり、炎症状態が比較的安定していた。炎症指標であるIL-6、IL-1βならびに CRP は低値 - 定量下限未満であり、炎症が小康状態では CYP の発現低下に伴う血中TOF濃度の上昇は認められないと考えられた。 CYP の発現量や代謝活性は炎症反応により低下することが知られており 5,6)、IL-6 は in vitro に おいて CYP3A4 および CYP3A5 の発 現を低下させることが報告されている 6)。一方、JAK 阻害薬は炎症反応を抑制し、IL-6 を介した CYP の発現低下を回復させることが知られている 11,12)。すな わち、TOF 治療期間において IL-6 濃度が変化する ことにより、TOF の薬物動態が変動する可能性がある。実際に、がん悪液質の患者において、CYP3A により代謝されるオキシコドンの血中濃度は IL-6 濃度と相関することが報告されている 13)。この先行研究の対象患者における IL-6 濃度の中央値 は、悪液質患者において 31.8 pg/mL、不応性悪液質の患者では 45.8 pg/mL であり、本研究における 潰瘍性大腸炎患者の IL-6 濃度中央値と比較して高値を示していた。IL-6 を介した CYP3A4 およびCYP3A5 の発現低下は濃度依存的にみられることが知られており 6)、本研究における潰瘍性大腸炎222患 者 は 6 例 で あ っ た。 患 者 背 景 は表 1 に 示 す。TOF の 1 回投与量が 5 mg であった患者は 3 例、10 mg であった患者は 3 例であった。すべての対象患者は、重度の肝機能障害や腎機能障害を認めておらず、ALT および血清クレアチニン値の中央値は、当院の施設内基準値の範囲内であった。 CYP2C19 遺 伝 子 型 が *2/*3 の 患 者 お よ びCYP3A5 遺伝子型が *3/*3 の患者はそれぞれ 1 例ずつ存在し、CYP3A4 遺伝子型が *16/*16 の患者 および *1G/*1G の患者は存在しなかった。対象患者のうち、1 例はプレドニゾロンを併用していたが、CYP3A4 および CYP2C19 の強力な阻害薬あるいは誘導薬を併用していた患者は存在しなかった。 本研究の対象患者 6 例のうち、研究採血時点において臨床的寛解であった患者は 4 例、中等症であった患者は 2 例であった。血漿中 IL-6 濃度の中央値は 4.18(範囲:0.83-9.77)pg/mL であった。すべての対象患者の血漿中 IL-1β濃度は定量下限値である 0.16 pg/mL 未満であった。 潰瘍性大腸炎患者 6 例の TOF および M9 血漿中濃度を測定したところ、TOF 血漿中濃度は、内服前濃度が定量下限値(1 ng/mL)未満であった 1 例を除き本研究で確立した測定法における検量線の範囲内であった。M9 血漿中濃度は、すべての検体において検量線の範囲内であった。TOF およびM9 血漿中濃度と炎症指標について表 2 に示した。TOF 内服前における IL-6 濃度と TOF および M9の 用 量 補 正 AUC0-4、M9 AUC0-4/TOF AUC0-4 比

元のページ  ../index.html#240

このブックを見る