臨床薬理の進歩 No.47
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考  察治療抵抗性うつ病におけるケタミン反復投与の急性/長期効果と、関連する代謝物変化215 本研究は、治療抵抗性うつ病患者において、ケタミン反復投与の急性効果と 12 ヶ月後までの持続効果を検討し、初回投与後の代謝物変化が治療反応予測因子となり得ることを示した初めての報告である。4 回の投与で抑うつ症状は改善し、26.7% が 寛 解 に 至 り、13.3% は 追 加 投 与 な し での変化が症状改善と関連し、ケタミンの抗うつ効果を予測する可能性のあるバイオマーカーであることが示唆された。ケタミンは迅速な効果を示すが、長期的有効性は限られており、メタボローム解析を取り入れることが個別化治療の発展に寄与すると考えられる。 本研究では反復投与終了時に 40% が反応し、を対象としたメタ解析で報告された反応率約 45%、寛解率約 30% とほぼ一致していた 6)。特筆すべきは、13.3% が 12 ヶ月寛解を維持した点であり、一部の患者における持続的効果を裏づけている。先行研究では効果持続期間にばらつきがある。例えば、治療抵抗性うつ病患者 24 例を対象とした非盲検試験では、6 回投与後に反応した 17 例のうち 4 例慢性自殺念慮を有する治療抵抗性うつ病患者を対象とした二重盲検無作為化比較試験で、6 回投与群の 12 例中 3 例が反応、2 例が寛解を達成し、3 ヶ月後も 2 例が反応と寛解を維持した 12)。さらに、うつ病または双極性うつ病患者 108 例を対象にした非盲検試験では、反応を示した 56 例のうち 26 例患者は追加投与なしでも効果を維持できるが、多くは数ヶ月以内に再発する可能性が高い。治療抵抗性うつ病という特性と代わりとなる治療が限られることを踏まえると、再発前にケタミンを再投与することは有効と考えられる。実際、アメリカなどで広く行われている定期的な維持投与は、安全で合理的な再発予防手段とみなされる。また、症状再発の予測因子を明らかにすることは、より効率的かつ標的を絞った治療戦略につながり、少ない投与回数で症状安定を維持できる可能性を示唆する。 メタボローム解析の結果、初回ケタミン投与後に 3- ヒドロキシ酪酸が上昇したことが、反復投与終了時の症状改善度、さらに 3 ヶ月後および 12 ヶ月後の改善度とも関連していた。3- ヒドロキシ酪酸(別名β - ヒドロキシ酪酸)はケトン体の一種で、グルコース不足時に代替エネルギーとして利用される。さらに、NLR Family Pyrin Domain-Containing Protein 3 inflammasome やミクログリアを抑制することにより、抗炎症作用および神経保護作用を示すことが報告されており、これらの機序はうつ病の病態生理に関与する可能性がある。3 つの独立した日本のコホート 90 例を対象とした血漿メタボローム解析では、診断や薬物使用の有無にかかわらず、3- ヒドロキシ酪酸濃度がうつ病の重症度と一貫して関連していた 8)。また、67 例を対象とした研究では、うつ病患者の 3- ヒドロキシ酪酸濃度は健康成人と比べて有意に高く、青少年で 55%、成人で88% 高値を示した 14)。さらに、身体症状を有する132 例を対象とした無作為化比較試験では、抗うつ薬(セルトラリンまたはベンラファキシン)治療前の3- ヒドロキシ酪酸濃度が、改善群では非反応群より有意に高く、改善群では治療開始後約 3 ヶ月で3- ヒドロキシ酪酸濃度が有意に低下した 15)。これらの知見は、3- ヒドロキシ酪酸濃度の上昇がうつ病の特徴であり、ケタミン投与後に観察されるさらなる一時的増加がその後の治療反応を予測し得ることを示唆する。一方で、ケタミンが 3- ヒドロキシ12 ヶ月間寛解を維持した。特に 3- ヒドロキシ酪酸26.7% が寛解に達した。この結果は、実臨床データが 3 ヶ月後も反応を維持し、再発までの中央値は18 日、ほとんどが 1 ヶ月以内に再発した 11)。また、が 9 ヶ月後も Patient Health Questionnaire-9 で持続的反応を示した 13)。これらの結果から、一部

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