臨床薬理の進歩 No.47
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方  法208新しい治療法として注目されている 3)。先行研究では、ケタミンが電気けいれん療法を含む他のどの治療法より優れる可能性が示されている 4)。アメリカなどの臨床現場では、通常 2-3 週間に 4-6回の静脈内点滴を導入療法として行い 5)、約 45%が反応し、30%が寛解に至る 6)。その後、反応例では月 1 回の維持投与に移行することもあるが 5)、反復投与後に追加投与なしで効果がどれくらい持続するかを長期的に調べた研究は乏しい。 治療効果を早い段階で予測できれば、治療戦略を最適化し、より質の高いケアにつながる。その方法としては、治療開始前のバイオマーカーを使って効果が期待できる患者をあらかじめ見つける方法や、治療中に起こる体内の変化を追跡して手がかりを得る方法がある。ケタミンの反応予測因子としてはこれまで、臨床症状、認知機能、脳画像、電気生理学、概日リズム、免疫学的指標、代謝物、神経栄養因子、遺伝子、エピジェネティクスなど様々な要素が検討されてきた 7)。しかし、信頼性の高い予測バイオマーカーはいまだ確立されていない。 メタボローム解析は、分子量 2000 Da 未満の小さな分子を多数測定することで体内の生化学的状態を包括的に評価する技術である 8,9)。この手法は治療に伴う体内変化を理解するうえで有用で、個別化医療の発展に役立つ可能性がある。実際、3- ヒドロキシ酪酸やベタイン、クエン酸、クレアチニン、ガンマ - アミノ酪酸などの血漿代謝物が、複数の研究でうつ病の重症度と関連することが報告されている 8)。また、トリプトファンはキヌレニン経路を通じてキヌレニン酸や 3- ヒドロキシキヌレニンに変換され、一部はセロトニンになるが、いずれも病態生理に関与している。ケタミン投与後の代謝物変化を調べた研究はいくつかあり、抗うつ効果の背景となる代謝メカニズムが示唆されている。しかし、反復投与の急性効果と長期効果を、代謝物の早期変化から検討した報告はまだない。 そこで本研究では、治療抵抗性うつ病患者におけるケタミン反復投与の急性および持続的効果を検討し、さらに治療反応の予測に有用な代謝物変化を明らかにするため、メタボローム解析を行った 10)。研究デザイン 本研究は非盲検試験で、治療抵抗性うつ病の患者に対し、2 週間で 4 回ケタミンを点滴投与し、その後 12 ヶ月間経過を追跡した。参加者は 2022 年6 月から 2023 年 11 月に杏林大学医学部付属病院で募集した。本研究は国立精神・神経医療研究センターの承認(承認番号:CR21-003)を受け、日本臨床試験登録機構に登録された(jRCTs031210648)。すべての参加者は、研究参加前に文書で同意を行った。参加者 対象は、(1)国際疾病分類第 10 版に基づく大うつ病性障害の診断を満たし、(2)少なくとも 2 種類の抗うつ薬を十分量かつ 6 週間以上服用しても改善がみられず、(3)モンゴメリー・アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)のスコアが 20 点以上で、(4)18 歳以上で研究参加に同意できる外来患者とした。除外基準は、(1)精神病症状(幻覚、妄想)を伴ううつ病、(2)直近 1 週間以内の抗うつ薬・抗精神病薬・気分安定薬の変更、(3)過去 3 ヶ月以内の電気けいれん療法または反復経頭蓋磁気刺激、(4)過去 6 ヶ月以内の薬物依存、(5)依存性薬物の尿検査陽性、(6)妊娠中・授乳中・妊娠希望、(7)ケタミンに対するアレルギー歴、(8)てんかんやけいれんの既往、(9)コントロールできない高血圧、(10)過 去 3 ヶ 月 以 内 の 脳 血 管 疾 患 や 心 不 全、(11)重度の肝機能障害・腎機能障害、(12)現在の

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