臨床薬理の進歩 No.47
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方  法174の予測マーカーとしての使用には限界がある。 これまでに報告された ICIM のリスク因子としては、ICI 併用療法、糖尿病、肥満、放射線療法、血管新生阻害薬やアントラサイクリン系薬剤の併用などが挙げられている 4,5,7)。しかし、これらの因子がどのように ICIM 発症に寄与するのか、その詳細な機序は明らかでなく、複数因子間の相互作用(相加的または拮抗的効果)についても不明である。このように、ICIM に対する確立された治療法は存在せず、包括的な予測マーカーも得られていない。しかし、ICI 投与前に発症リスクの高い患者を同定し、適切なモニタリングや早期介入を行うことは臨床的に極めて重要である。我々はこれまでに、日本の診療情報データベース(Medical Data Vision :MDV)を用いて、ICI 投与前に心筋炎発症リスクを予測するモデルを構築した。この検証では、複数のモデルを比較した結果、LightGBM が最も高い予 測 精 度 を 示 し た も の の、UROC は 0.635、F5スコアは 0.178 と低値であり(submitted)、臨床症例数の限界が予測精度の向上を妨げていた。 米国の診療情報データベース TriNetX は、国内データ MDV と比較して約 10 倍の臨床情報を有している。本研究では、この大規模リアルワールドデータベースを用い、ICI 投与前に得られる臨床情報から解析を行い、ICI 誘発性心筋炎の発症を予測する新たな機械学習モデルの構築を試みた。さらに、SHapley Additive exPlanations(SHAP)解析 8)を用いて、各臨床変数が発症リスクに与える寄与度を定量的に評価し、リスク関連因子の解釈可能性を明らかにすることを目的とした。対象患者およびデータソース 本研究では、国際的リアルワールドデータベースである TriNetX Research Network(Cambridge、 MA、USA)を用いた。対象は、登録されたがん患者のうち ICI を初めて投与された患者とした。解析対象期間は 2015 年 1 月から 2024 年 10 月までとし、解析時点で利用可能な最新データを使用した。データ抽出時点において、TriNetX には米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)に承認された ICI を処方された 115,486 例の患者情報が含まれていた。対象薬剤は、nivolumab、pembrolizumab、durvalumab、atezolizumab、avelumab、ipilimumab、dostarlimab、relatlimab、cemiplimab であった。 本研究の解析デザインを図 1 に示す。がん診断日を基点とし、look-back 期間として ICI 初回投与日から 1 年以上前に受診歴を有する患者を抽出条件とした。これにより、投与前の臨床背景を一定期間評価可能な症例に限定した。Look-back 期間内に得られた臨床情報(既往疾患、薬歴、Body Mass Index[BMI]、喫煙歴など)を共変量として解析に用いた。 主要アウトカムは、心筋炎の診断は、ICI 初回投与後 1 ~ 90 日の期間に新たに記録された症例と定義した(図 2)。心筋炎は TriNetX 内の ICD-10診断コードに基づいて抽出し、以下のコードを使用し た:I40.1、I40.8、I40.9、I51.4、422.91、422.93、422.99、422.9、429.0。特徴量の抽出と前処理 ICI 投与前に取得可能な臨床情報から、多面的な特徴量を抽出した。特徴量は、患者背景情報(年齢、性別、BMI)、薬歴情報、疾患歴情報、治療歴情報(手術歴、放射線療法歴)、および生活習慣情報の5 領域に分類した。初期段階では、これらの情報から 696 変数を抽出した。カテゴリカル変数については、χ² 検定を用いて心筋炎発症との関連性を評価し、p 値閾値に基づいて変数を削減し、最終的に 113 変数を解析対象とした。連続変数間の相関を Pearson's の相関係数で検討したところ、いずれも相関係数 |r| < 0.8 であり、多重共線性は認められ

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