臨床薬理の進歩 No.47
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*1 Hamano Hirofumi 岡山大学学術研究院 医療開発領域 薬剤部、九州大学システム情報科学研究院 学際情報学特別部門はじめに要   旨目的 免疫チェックポイント阻害薬誘発性心筋炎(ICIM)を投与前情報のみで高感度に予測する機械学習モデルの構築と解釈を目的とした。方法 米国 TriNetX のがん患者 52,763 例(ICIM 133 例)を対象に、SMOTE +ランダムアンダーサンプリングで極端なクラス不均衡を補正した。16 アルゴリズムを比較し、F5 を主指標として最適化した。テストデータで性能を評価し、SHAP により重要因子を可視化した。結果 XGBoost(AUROC 0.958、F5 0.872)および LightGBM(AUROC 0.972、F5 0.741)が優れた予測精度を示した。SHAP 解析では、投与前 30 日の処方薬数、Charlson 併存疾患指数、初回投与時年齢などがリスクに寄与した。結論 大規模リアルワールドデータに基づく本モデルは、免疫チェックポイント阻害薬開始前のリスク層別化とモニタリング計画の最適化に資する、実装可能な基盤を提供する。Key words:免疫チェックポイント阻害薬、心筋炎、機械学習、XGBoost、LightGBM医療情報を活用した免疫療法誘発心筋炎予測デバイスの日米共同開発Bi-national development of a medical-data–driven predictive device for immunotherapy-induced myocarditis173 免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint 薬剤である。これらの薬剤は、免疫チェックポイントシグナルを阻害し、T 細胞の活性化を促進することにより抗腫瘍効果を発揮する。しかし、ICI治療は多様な炎症性有害事象、すなわち免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAEs)を引き起こすことが知られている 1)。ICI 治療を受けたがん患者の約 10%が治療中止を要するほど重篤な irAEs を発症し 2)、その中でも ICI 誘発性心筋炎(ICI-induced myocarditis:ICIM)の致死率は25 ~ 50%と報告されており、irAEs の中で最も高い致死率を示すことから、特に注意を要する 3)。 現時点で ICIM の発症機序は十分に解明されてinhibitors:ICIs)は、がん治療における画期的ないないが、T 細胞を含む免疫細胞群が心筋組織を攻撃する過剰な免疫活性化が関与していると考えられている。ICIs による免疫チェックポイント阻害は本来の免疫制御を破綻させ、自己免疫的反応を惹起することがその要因とされる。ICIM に対する根治的治療法はいまだ確立しておらず、主な治療は副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬の投与など、炎症反応を抑制する対症療法が中心である 4)。 ICIM の診断において、いくつかのバイオマーカーが報告されている。心筋特異的抗原であるトロポニン Iは、心筋障害により血中に放出され、ICIM 患者では血清トロポニン I 値の上昇が認められる 5)。トロポニン Iは ICIM 患者の 94%で上昇を示すことから、最も感度の高い診断指標とされている。しかし、トロポニン Iの上昇は慢性腎疾患などの非心疾患においても認められることがあり 6)、偽陽性が多いため ICIM濱野 裕章*1

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