*1 Torii Yuka *2 iwaTa ken-ichi *3 Suzuki Takako *4 ogura YaSuhiro *5 kawada Jun-ichi はじめに要 旨背景と目的 小児肝移植患者におけるサイトメガロウイルス(CMV)感染にガンシクロビル(GCV)およびバルガンシクロビル(VGCV)が用いられるが、好中球減少症などの有害反応が問題となる。NUDT15(Nucleoside diphosphate-linked moiety X-type motif 15)遺伝子変異はチオプリン誘発性の骨髄抑制と関連するが、GCV/VGCVによる細胞毒性との関連は明らかでない。方法 小児肝移植後に CMV 疾患または CMV 感染が疑われ、GCV または VGCV 治療を行った 40 例において、定量 PCR を用いて NUDT15 遺伝子多型を同定し、治療経過や治療中の血液検査の推移との関連について解析した。結果 40 例中 10 例(25%)が NUDT15 変異を有していた。変異群では好中球減少症の発症率(60% vs 7%、p<0.01)および好中球数の減少率(−65.1% vs −45.9%、p=0.02)が正常群(野生群)より有意に高かった。白血球減少、貧血、血小板減少、肝腎毒性の発症率には有意差はなかった。結論 NUDT15 変異は GCV/VGCV 治療を受ける小児肝移植患者における好中球減少症と関連していた。NUDT15変異の解析は抗ウイルス療法の最適化に役立つ可能性がある。シドホビル、ホスカルネットなどの抗ウイルス薬であり、GCV/VGCV が第一選択療法とされている。 GCV および VGCV は塩基・ヌクレオシド類に属する抗ウイルス薬で GCV/VGCV 治療を受ける一部の患者は有害反応を発症し、そのうち好中球減少症は最も一般的な有害反応である。これまでの報告で固形臓器移植を受けた患者の 2 ~ 29%に好中球減少が認められたと報告されている 3)。小児では、VGCV を投与された 109 例のうち 21 例(19%)が抗ウイルス治療開始後 6 週以内に好中球Key words:NUDT15、cytomegalovirus、ganciclovir、valganciclovir、neutropenia名古屋大学医学部附属病院 小児科 同 上 同 上名古屋大学医学部附属病院 移植外科藤田医科大学 小児科学小児肝移植患者におけるサイトメガロウイルス治療中の好中球減少症とNUDT15(Nucleoside diphosphate–linked moiety X-type motif 15)変異との関連Associations of nucleoside diphosphate-linked moiety X-type motif 15 variants with neutropenia during antiviral therapy for cytomegalovirus disease in pediatric liver transplant recipients164 サイトメガロウイルス(CMV)感染は世界的に人間に最も広く見られるウイルス感染症の 1 つであり、人口の 60 ~ 90%が感染している 1)。免疫が野生な人では通常無症状で経過し、生涯にわたり潜伏状態で持続する。しかし、CMV 疾患は肝移植を含む固形臓器移植レシピエントにおいて問題となる 2)。標準治療はガンシクロビル(GCV)およびその経口前駆体であるバルガンシクロビル(VGCV)、鳥居 ゆか*1 岩田 健一*2 鈴木 高子*3 小倉 靖弘*4 川田 潤一*5
元のページ ../index.html#180