CADBE患者由来小腸オルガノイドは病理サンプルで観察された主要な特徴を再現する 最後に、クローン病患者においてパネート細胞が減少し、腸管上皮細胞が死に至るメカニズムを明らかにするため、患者由来小腸オルガノイド (3 次元培養によるミニ腸モデル)を確立して解析を行った。病理サンプルの解析結果から推測された通り、クローン病患者由来の小腸オルガノイドは TNFαに対して高い感受性を示した(図 8A and data not shown)。さらに、培地を切り替えて上皮細胞の分化を促進したところ、クローン病患者由来オルガノイドでは、パネート細胞を含む分泌系上皮細胞への分化に必須な転写因子 ATOH119) の発現が低下していた(図 8B)。これらの結果から、患者由来腸管オルガノイドは、クローン病患者に特徴的な「上皮細胞死への高感受性」と「パネート細胞比率の低下」という主要な病理学的特徴を再現している可能性が示された。図 7 パネート細胞数と臨床検査項目との相関解析(A) C-reactive protein (CRP) (N=59、R2=0.0426)、 (B) White blood cell (WBC) (N=59、 R2=0.058)、 (C) Platelet (PLT) (N=59、 R2=0.0086)、 (D) Harvey-Bradshaw index (simple CDAI) (N=49、 R2=0.005)、 (E) MREC score (N=58、 R2=0.0816)。Correlation between each clinical parameter and Paneth cell number was assessed using simple linear regression (GraphPad Prism ver.10)。150パネート細胞数と代表的炎症指標との間に相関は認められない 次に、パネート細胞数とクローン病の重症度評価に日常的に用いられる代表的バイオマーカーとの関連を検討した。具体的には、対応するクローン病症例について C reactive protein(CRP)、白血球数 (WBC)、 血 小 板 数(PLT)、Harvey–Bradshaw Index(HBI、 simple CDAI)、および磁気共鳴小腸・大腸造影スコア(MREC score)を収集し、それぞれの値とパネート細胞数を比較した。しかし、これらいずれの臨床指標ともパネート細胞数との間に相関は認められなかった(図 7A-E)。以上より、パネート細胞数の減少や分泌顆粒異常が、クローン病患者の炎症状態とは独立して生じている可能性が示唆された。
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