胃 ILC2 は IL-33 刺激に対して IL-5 および IL-13といった 2 型サイトカインを強く産生することが確認された(図 2C、 D)。特に 1w では、これらサイトカインの産生量が最も高く、若齢期における ILC2 の高い反応性が示唆された。興味深いことに、ILC2 細胞上の IL-33 受容体(ST2)の発現レベル 自体は、成体マウスと比較して大きな差が認め られず(図 2E)、この応答性の高さは受容体量の 差異によるものではなく、細胞内シグナル応答や 代謝状態の違いに起因する可能性が考えられた。 続いて、胃組織側からのサイトカイン産生動態を 評価したところ、IL-33 の産生量は 1w では比較的 低いものの、3w では成体レベルにまで上昇して いた(図 2F)。また、我々の先行研究で ILC2 が IL-7 刺激に応答することを報告していたこと か ら、IL-7 お よ び 上 皮 由 来 サ イ ト カ イ ン TSLP の 発 現 も 解 析 し た。 そ の 結 果、 こ れ ら サイトカインも 3w で顕著に増加しており、離乳期にかけて胃組織の成熟とともにサイトカイン環境 が整備されることが明らかとなった。すなわち、1w では組織側が未熟でサイトカイン産生は限定的である一方、ILC2 自体はこの段階から高い応答性を備えており、発達過程の初期段階から機能的に備わっていることが示された。 次に、ILC2 によって誘導されるエフェクター細胞として知られる好酸球に着目した。ILC2 が産生する IL-5 は好酸球の分化・活性化を誘導することが知られているが 10)、若齢期における胃の好酸球動態はこれまで不明であった。そこで、1w および3w マウスにおける胃の好酸球数を比較した結果、いずれの時期においても明確な好酸球集積が認められた(図 2G)。さらに、ILC2 を特異的に欠損する CD127cre × Roraflox/flox マウスを用いて解析を行ったところ、ILC2 欠損マウスでは胃内の好酸球が著しく減少しており(図 2H)、ILC2 が胃局所における好酸球誘導に必須であることが明確に138(図 1C)、細菌叢の構成には明確な違いが見られた (図 1D)。このことは、胃内でも部位特異的な微生物環境が形成されている可能性を示している。加えて、炎症性変化を伴う症例では、共生細菌叢の構成が健常状態と比較して顕著に変化しており(図1E、 F)、胃内の細菌叢が宿主の免疫応答や炎症状態に密接に関連していることが示唆された。免疫臓器としての胃の解析 我々はこれまでに、胃が単なる消化器官にとどまらず、ILC2 優位な免疫応答を示す臓器であることを報告してきた 5)。この知見は、胃が外来抗原や微生物に対して固有の免疫環境を形成し、粘膜 恒常性を維持する重要な場であることを示している。しかし、これまで小児期に相当する若齢期における胃の免疫系発達や ILC2 応答の特徴については、ほとんど明らかにされていなかった。そこで本研究では、発達過程における胃の免疫応答動態を明らかにすることを目的として、乳児期に相当する 1 週齢マウス(1w)および離乳期の 3 週齢マウス(3w)を対象に、特に ILC2 に着目した解析を行った。 まず、胃組織における ILC2 の存在量を定量的に評価したところ、生後間もない 1w マウスにおいてもすでに多数の ILC2 が胃粘膜に存在していることが明らかとなった(図 2A)。さらに、組織重量あたりの細胞数で補正した場合、ILC2 の割合は成体マウスよりもむしろ高く、若齢期の胃がよりILC2 優位な免疫環境を有していることが示された(図 2B)。この結果は、胃が発達の早い段階から固有免疫細胞による制御を受けている可能性を強く示唆している。 次に、若齢期における ILC2 の機能的成熟度を明らかにするため、上皮細胞や線維芽細胞から産生され、ILC2 を活性化することが知られているサイト カイン IL-33 を用いて刺激実験を行った。その結果、1w および 3w のいずれのマウスにおいても、
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