*1 Satoh-takayama Naoko はじめに要 旨理化学研究所生命医科学研究センター空間免疫制御理研 ECL 研究ユニット目的 好酸球性胃腸炎と診断された小児患者の胃検体について空間的遺伝子解析と網羅的細菌叢解析を実施し、疾患発症・制御に関与する 2 型自然リンパ球(Group 2 innate lymphoid cell:ILC2)と細菌叢について解析を行うことで、最終的に好酸球性胃腸炎の患者に対して有効的かつ効率的な治療につなげることを目的とする。方法 好酸球性胃腸炎と診断された小児患者の胃検体について、16S rRNA をターゲットとした網羅的細菌叢を実施。またマウスの若齢期の胃における免疫誘導について ILC2 に焦点を当て検証した。結果 人の胃には多様な細菌叢が共生しており、好酸球性胃腸炎患者の胃では ILC2 が変化する結果を得た。結論 本研究により、胃は従来考えられていた以上に多様な細菌叢と ILC2 中心の免疫ネットワークを備え、発達初期から微生物代謝物を介して IL-33-ILC2- 好酸球による炎症制御を行う複合的な免疫臓器であることを明らかにした。よる難治性疾患政策研究事業の対象疾患としても研究が推進されている 1)。 好酸球性胃腸炎は、消化管への好酸球の集積により吐き気や腹痛などを呈する疾患であり、小児における発症は低栄養による成長阻害を引き起こすため、積極的な治療介入を要する難病指定疾患で ある。現在、患者の約 60%が再発を繰り返し、治療は主としてステロイド投与に依存している。そのため、慢性的な副作用(骨粗鬆症、脂質異常症、うつ症状、糖尿病など)が深刻な課題となっている。さらに、本疾患は IgE 非依存性(非 IgE 型)応答として知られているが、その発症メカニズムは未だ明らかではない 2)。 自然リンパ球群(innate lymphoid cells:ILCs)は、T 細胞や B 細胞と同様にリンパ系に属するがKey words:好酸球性胃炎、自然リンパ球、細菌叢、若齢期、発症誘導メカニズム解析小児期に発症する好酸球性胃腸炎の発症メカニズム解明と治療への応用研究Investigation of pathogenic mechanisms underlyingpediatric eosinophilic gastroenteritis disorders132 好酸球性消化管疾患(Eosinophilic Gastrointestinal Disorders:EGIDs)は、好酸球性食道炎と好酸球性胃腸炎の 2 つを合わせた総称であり、2015 年に国の指定難病(指定難病 98)として認定された稀少疾患である。本疾患は新生児から成人まで幅広い年齢層で発症するが、特に新生児期から乳児期にかけての発症例が 1990 年代末以降、急激に増加している。欧米では好酸球性食道炎が主であるのに対し、日本では好酸球性胃腸炎の症例が多いことが特徴である。欧米では好酸球性胃腸炎の症例数が少ないため、診断法や治療法の標準化が十分に進んでおらず、世界的にも研究の進展が遅れているのが現状である。実際に本疾患は、厚生労働省に佐藤 尚子*1
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