臨床薬理の進歩 No.47
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考  察早産児カフェイン療法と自律神経機能:増量投与はストレスを惹起するか?day 以上への増量後は明確な変化を認めなかった。SDNNI、SD2)の結果を示す。初回投与および維持投与開始後は有意に上昇した一方で、8 mg/kg/ 本研究では、カフェイン投与が早産児の自律神経活動に与える影響を、初回投与後・維持投与開始後・増量後の 3 時点で比較検討した。その結果、初回投与後および維持投与開始後において自律神経全体の調節能(SDNNI、SDNN、SD2)が有意に上昇し、増量後には変化を示さなかった。また増量後にはストレス反応を示唆する所見は認めなかった。 初回投与後に上昇を認めた SDNN および SD2は、比較的長い時間スケール(数十秒〜数分単位)の心拍変動を反映し、交感・副交感の両系が関与する自律神経全体の調節能を示す指標である。一般にストレス状態では RMSSD や SD1 といった副交感神経活動の低下を認め、交感・副交感神経両系を反映する SDNN および SD2 も低下することが知られている。今回の検討では統計的に有意な上昇を認めたため、カフェインの初回投与は早産児にとってストレスを惹起するものではないことが示唆されるが、臨床的な意義については多角的な評価(行動スケールや唾液コルチゾールなど)が必要である。 維持投与開始後の 24 時間連続記録でも、初回投与後に上昇した指標に加え、SDNNI、VLF、LFに有意な上昇を認めた。この結果から、カフェイン初回投与後の自律神経全体の調節能への影響が24 時間を通じて続いている可能性が示唆された。また、自律神経全体の調節能を示す指標(SDNNI、SDNN、SD2)は、早産児では自律神経の成熟度を反映する指標とされており、生後日齢とともに上昇することが報告されている。特に SDNNI は成熟度の代表的指標とされており、報告では修正32 週から 35 週にかけての変化量は+4.22 ms(95%信頼区間:1.77–6.67)であった 9)。一方、本研究ではカフェイン維持投与開始後の変化量は+6.10 ms(95% 信頼区間:1.54–10.65)であった。このことから、カフェインには自律神経の成熟を早める作用をもつ可能性が考えられるが、臨床的意義の解釈には今後のデータ蓄積が必要である。また、維持投与開始後には SD2/SD1、LF/HF の上昇を認めており、これは相対的な交感神経優位性の状態にあることを示唆している。カフェインは一般的に副交感神経終末のアデノシン受容体を遮断することで迷走神経活動を抑制し、同時に交感神経終末からのノルアドレナリン放出を促進することで交感神経優位の状態を引き起こす。これにより未熟性に起因する過剰な迷走神経反射による徐脈発作を抑制していると考えられている。今回の結果はこの状態を反映した結果である可能性があるが、その証明には多角的な評価(血中ノルアドレナリン濃度や起立負荷試験など)も必要であり今後の検証が必要である。 増量後では、VLF のみが有意に上昇したがその他の指標には明確な変化を認めなかった。このため、高用量に増量してもストレスを示唆する反応(SDNN・RMSSD・SD2 の有意な低下)を認めず、自律神経への大きな影響は生じないことが示唆される。ただし、これらの項目は初回投与後および維持開始後では上昇傾向にあり、増量後ではいずれも低下傾向にあった。この上昇から低下に転じたことが増量による影響かどうかについては今後の検証が必要である。ただし、現在までの報告ではどの程度の低下がストレスを示唆するかという明確な基準はなく、報告により幅があるため HRV指標のみから断定することは困難な可能性があり、多角的な評価を同時に行い検証する必要がある。VLF の上昇は、交感神経の活動を反映すると111

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