早産児カフェイン療法と自律神経機能:増量投与はストレスを惹起するか?も HRV に影響を及ぼす可能性が高いため、解析 取 得 し た 心 拍 デ ー タ は MATLAB(R2024b; 時期に血中カフェイン濃度が高濃度域に到達する可能性が高いことが示唆されたためである 2)。 除外基準は、先天性心疾患、先天奇形、重度脳室内出血(Grade Ⅱ以上)、中等度以上の敗血症、不整脈を呈した症例とした。これらの要因はいずれ精度を確保する目的で除外した。本研究は当院倫理委員会の承認を受けており(承認番号:R05-18)、保護者から文書による同意を得た上で行った。カフェイン投与方法 カフェインクエン酸塩(20 mg/mL)を用い、標準的投与方法である初回量 20 mg/kg を 30 分かけて静脈内投与した。翌日より 5–10 mg/kg/dayの維持投与を開始し、経腸栄養が確立されたのちに経口投与に変更した。早産児無呼吸発作の改善が乏しい症例では 8 mg/kg/day 以上に増量した。増量の判断は臨床症状および呼吸モニタリングの所見に基づき主治医が行った。投与量は体重増加に伴い適宜再計算し、すべての投与量および経路は電子カルテ記録により確認した。心拍変動データの取得 心電図は生体情報モニター IntelliVue MX700/MP50(Philips Healthcare、Böblingen、Germany)から波形データを取り込み、携帯型心電記録装置 FAROS 180®(Bittium Corporation、Oulu、Finland)を用い、サンプリング周波数 1000 Hz で連続取得した。生後早期よりカフェイン投与開始前後を含めて連続測定を行い、退院までの間、安定した記録が得られた期間を解析対象とした。これにより、自律神経活動の経時的変化を追跡可能とした。データ前処理および品質管理MathWorks、Natick、MA、USA)で解析した。まず、R–R 間隔データに対してアーチファクト検出を行い、前後心拍に比して± 20%を超える急峻な変動や300–2000 ms の生理的範囲を外れる値を異常心拍として除外した。異常心拍および欠損値は線形補間により補正した。短周期ノイズを抑制するため、移動平均処理(3 点平滑化)を適用し、解析区間を国際標準に基づき 5 分間ウィンドウに分割した。これにより短期成分および長期成分を安定して評価可能とした。有効データ率(artifact-free ratio)が 90%以上の区間のみを解析対象とした。時間領域解析では、各 5 分間ウィンドウ内の R–R 間隔系列に対して、平均 R–R 間隔、標準偏差(SDNN)、隣接差分の二乗平均平方根(RMSSD)を算出した。周波数解析は、データを 4 Hz に再サンプリングした後、Burg 法(自己回帰モデル次数 16)を用いてパワースペクトル密度を算出した。この方法は短時間解析においても高い周波数分解能を確保できることから、新生児研究でも広く採用されている 7)。Poincaré解析は、時間領域解析では捉えにくい変動構造を可視化できる補完的指標として利用した。すべての解析処理は MATLAB により自動化し、その処理ログを保存して解析の一貫性と再現性を確保した。以上の解析手法は、成人〜新生児領域の HRV 研究において国際的に標準化されたアプローチに準拠するものである 8)。 下記に本研究で使用した HRV 指標の生理学的意義を 3 つに分類して示す。①副交感神経(迷走神経)活動の評価指標 新生児副交感神経発達の主要指標とされ、睡眠状態評価にも適用されている。 • RMSSD(時間領域解析):副交感神経活動の即時的な変化を反映 • SD1(Poincaré 解析):副交感神経活動や睡眠状態の指標 • HF(周波数解析):副交感神経活動を反映② 交感・副交感両系が関与する全体的変動性107
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