B(B)A(A)図 5 CYP2D6 活性予測バイオマーカー比と血中タモキシフェン代謝物濃度比の関連図 5 CYP2D6 活性予測バイオマーカー比と血中 TAM 代謝物濃度比の関連CYP2D6 バイオマーカー濃度比 A およびピーク面積比 B と血中 END/NDT 比を示す (n = 42)。単回帰分析(最小 = 乗法)にCYP2D6 バイオマーカー濃度比 (A) およびピーク面積比 (B) と血中 END/NDT 比より回帰直線を算出し、決定係数(R2)を求めた。END:Endoxifen、NDT:N-Desmethyltamoxifenを示す(n = 42) 。END:Endoxifen、NDT :N-Desmethyltamoxifen考 察実臨床におけるCYP2D6活性予測バイオマーカーの有用性評価であった。SND 濃度に対する 4-OHSND 濃度およびSSDA と SND の 面 積 比 は い ず れ も、CYP2D6活性の低下に伴い有意に低値となることが示された(図 4)。また、研究協力者のうち TAM 服用患者42 名(女性 42 名、平均年齢 52(35-83)歳)については、血中 TAM および TAM 代謝物を測定し、各バイオマーカー量との相関を解析したが、CYP2D6特異的代謝反応である NDT から END への代謝反応に着目したとしても、その濃度比はバイオマーカーとの相関は認められなかった(図 5)。 CYP2D6 は臨床で使用される多くの薬物の代謝反応を触媒することから、その活性の個人差を考慮した投与量設計が重要となる 1,2)。本研究では、CYP2D6活性予測バイオマーカー候補化合物である SND を出発原料として 4-OHSND および SSDA の合成を試み、それらの LC-MS/MS による定量系を構築した。さらに、CYP2D6 基質薬物を服用する患者42 名を含む研究協力者 94 名を対象とし、CYP2D6遺伝子多型、血中 CYP2D6 バイオマーカー量および血中薬物濃度の関連を解析した。 4-OHSND は代表的な酸化反応の 1 つであるセレン酸化 10)により合成が可能であった。一方、SSDA は本研究で検討したいずれの反応においても合成することができなかった。その原因として、SSDA が窒素原子を含有することに起因する反応性の低下や求電子性の不足など、出発原料の特性に起因する反応条件の不適合が考えられた。また、出発原料が高価であることから小スケールでの反応検討にとどまったことも一因である可能性がある。今後、反応条件の更なる最適化や出発原料の変更などにより、SSDA を合成できる可能性はあると考えられた。 CYP2D6 バイオマーカー測定系は、FDA が提唱するバイオアナリシスの妥当性基準を満たしており、研究協力者 94 名由来の血漿検体を使用した検証では、おおよその検体において検量線範囲内で定量可能であった。したがって、本測定系は実臨床検査への適応が期待され、今後は多施設バリデーション試験による堅牢性評価が望まれる。さらに、4-OHSND はこれまで CYP2D6 バイオマーカー候補として推定されていたが、本研究に93
元のページ ../index.html#109