臨床薬理の進歩 No.46
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065814Group 1(n = 11)83.7 ± 15.34/77/47/40.99 ± 0.480.82 ± 0.13236 ± 835.4 ± 2.61.9 ± 3.08/3Group 2(n = 13)77.3 ± 10.36/75/86/71.14 ± 1.061.35 ± 2.04199 ± 454.5 ± 1.50.8 ± 1.55/8表1 対象患者の臨床的特徴年齢(歳)性別、男性/女性プロトンポンプ阻害薬の使用、あり/なし集中治療室への入院、あり/なし総ビリルビン(mg/dL)血清クレアチニン値(mg/dL)血小板(103/L)2回の便採取間隔(日数)入院後の抗微生物薬の使用 なし 1種類 2種類以上抗微生物薬投与終了から2回目の採取までの日数入院後の絶食、あり/なし年齢、各検査値および、日数については平均値±標準偏差を示した。その他の項目については患者数を示した。クタム、アンピシリン、または、メロペネムの投与により、便中の酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、および、イソ吉草酸の含有量が10分の1から100分の1まで有意に減少することが示された(図2)。これらの推定結果は、プロペンシティスコアを用いた調整後も大きく変化しなかった。入院中に観察された有害反応のうち、2群間において下痢の発生割合に有意な差が認められた(表2)。動物モデルを用いた妥当性の評価 以上の結果から、ピペラシリン・タゾバクタムやアンピシリンなど嫌気性細菌に対して作用する抗微生物薬を非経口投与することで、便中のSCFA量が著明に低下することが示唆された。しかし、Group 1の患者の多くは市中肺炎を契機として入院しており、Group 2の患者と入院の契機となる疾患が異なった。また、Group 1の患者では肺炎の治療に伴って絶食が行われた割合が高い傾向にあった。さらに、患者によっては、抗微生物薬の投与終了84された便検体、および、それ以外の患者(Group 2)から採取された便検体が区別できることが確認された(p < 0.01、adonis test、図1A)。嫌気性細菌に対して作用するピペラシリン・タゾバクタム、アンピシリン・スルバクタム、アンピシリン、または、メロペネムが投与された患者では、 入院時から2回目の便採取までの期間において、便中のSCFA(酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、および、イソ吉草酸)量が低下することが確認された(図1B)。一方、他の抗微生物薬または抗微生物薬が投与されなかった患者では、入院中において便中代謝物量に変化が観察されなかった。そこで、ピペラシリン・タゾバクタム、アンピシリン・スルバクタム、アンピシリン、または、メロペネムが投与された患者(Group 1)とそれ以外の患者(Group 2)を比較して、これらの抗微生物薬の投与が便中代謝物へ及ぼす影響を定量するとともに、有害事象との関連性を評価した。各群における患者の臨床的特徴を表1に示す。ピペラシリン・タゾバクタム、アンピシリン・スルバ

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