臨床薬理の進歩 No.46
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*)%(0率存残物薬********SupCLDebCTLWCL12010080604020図3 B. subtilis 168における細菌分画ごとの薬物代謝活性(n=3)TCL: tacrolimus, VACV: valaciclovir, CTL: control, WCL: whole cell lysate, Sup: supernatant fraction, CL: soluble cell lysate fraction, Deb: cell debris fraction Mean±SD, **p<0.001, *p<0.05 (Dunnett test)TCL細菌中の代謝関連分子の同定 菌体内外いずれの例文が薬物の消失に関与するのかを探索するため、菌体外に分泌されたタンパク質が含まれる培養上清画分(supernatant fraction:Sup)、菌体内の成分を含む溶菌液画分(soluble どの不溶性成分を含む破砕片画分(cell debris バラシクロビルを含む培地にそれぞれの画分を添加、薬物残存率の変化を調べた。菌体由来画分を添加していない培地(control:CTL)の薬物残存濃度を程度の差はあるものの、SupとWCL分画において有意な残存率の低下が見られた(図3)。この結果より、タクロリムス、バラシクロビルの消失に関与する因子は主にSupに含まれる因子であったことが示唆された。また、一部のDeb、CLでも細菌画分を含まない培地と比べて有意に薬物残存率が低下していたことから複数の因子が薬物の消失に関与していること、および薬物の違いによって寄与率が異なることが示唆された。整腸剤および発酵食品由来細菌が医薬品の PK/PD に与える影響についての検討VACVcell lysate fraction:CL)、細胞膜や膜タンパクなfraction:Deb)とこれらすべてを含む溶菌液全体(whole cell lysate:WCL)に分け、タクロリムス、100%とした時の各薬物の残存率を算出したところ、 B. subtilis 168の中でもSupに含まれる因子についてトランスポゾンを用いた遺伝子変異株ライブラリを作成し、代謝活性を喪失した変異株を薬物分解性を指標に抽出した。抽出株の変異箇所から薬物代謝関連遺伝子としてタンパクYを同定した。マウスにおける細菌の薬物代謝活性の評価 Jcl:ICRマウスにB. subtilis TO-A懸濁液を経胃投与後にタクロリムス、バラシクロビル、薬剤X溶液をそれぞれ経胃投与し、各薬物の最高血中濃度到達時間における血中薬物濃度を測定した(図4)。タクロリムス、薬物Xについては菌投与群が非投与群に比べて血中濃度が低かった。バラシクロビル投与については菌投与群と非投与群とで有意差は認められなかった。健康成人における細菌の経口投与時の薬物血中濃度変化 健康成人を対象にB. subtilis TO-Aを含有する整腸剤(ビオスリー®錠)とタクロリムス、バラシクロビル、薬物Xを経口投与し、経時的な血中濃度変化を測定したところ、薬剤Xでは整腸剤と併用75

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