臨床薬理の進歩 No.46
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L/lomμytisnetnIytisnetnIAB11C50VACV 325.0>152.0VACV 325.0>135.01.21.4TimeCTL1.6ACV 226.0>152.0ACV 226.0>135.0VACV 325.0>152.0VACV 325.0>135.01.21.41.6TimeB.subtilis1683530252015100h24hバラシクロビルアシクロビルアシクロビルアシクロビル(ACV)バラシクロビルはプロドラッグであり、アシクロビルにバリンがエステル結合した構造である8)。ヒト体内においてバラシクロビルは、吸収後にエステラーゼによりアシクロビルとバリンに加水分解される(図2A)。バラシクロビル存在下でのB. subtilisの培養において、アシクロビルは培養前には検出されなかったが、培養後にはピークが検出された(図2B)。検出されたアシクロビルはB. subtilisとの培養によって消失したバラシクロビルと同等量であり、消失したバラシクロビルはすべてアシクロビルに変換されていた(図2C)。この結果より、B. subtilisにはヒトと同様の代謝によってバラシクロビルの加水分解に関わるエステラーゼが存在することが示唆された。また、タクロリムスのヒトでの代謝産物は主としてデスメチル体であるM-Ⅰ、M-Ⅱ、M-Ⅲが知られている9)が、これらの代謝物はB. subtilisとタクロリムスを培養した後には検出されなかった。以上の結果より、タクロリムスに関してはB. subtilisによって代謝されるものの、ヒトとは異なる代謝様式であることが示唆された。バリンバラシクロビル(VACV)バラシクロビル図2 B. subtilis 168によるバラシクロビルの代謝A バラシクロビルのヒトにおける代謝。B バラシクロビルとアシクロビルのクロマトグラム。B.subtilis 168と共培養することにより、アシクロビルのピークが検出された。C B.subtilis 168との共培養開始から24時間で消失したバラシクロビルはモル濃度換算でほぼ100%がアシクロビルへと変換されていた。CTL: Control74由来のB. subtilis nattoであった(図1)。特にタクロリムス、バラシクロビル、薬物Xについてはいずれも平均10%未満まで低下していた。Bifidobacterium sp.、Clostridium sp.、 Enterococcus sp.、Lactobacillus sp.ではどの薬物も培地中濃度は低下しなかった。B. subtilis TO-AとB. subtilis nattoで薬物の消失が見られたことを踏まえて、lab strainであるB. subtilis 168についても同様の実験を行った。その結果、残存率はタクロリムスでは平均3%、バラシクロビルでは平均4%、薬物Xでは平均3%と顕著な消失が観察された。以上の結果から、プロバイオティクスの中には薬物を代謝する可能性のあるものが存在しており、特にB. subtilisが薬物に影響を及ぼしうることが明らかになった。細菌による薬物代謝産物の解析 In vitroスクリーニングにおいて最も薬物の消失が見られたB. subtilisとタクロリムス、バラシクロビルそれぞれの組み合わせにおいて、細菌による代謝後の産物の同定をLC-MS/MSを用いて行った。

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