371171表1 患者情報患者数(n)性別(n) 男 女年齢(歳, 中央値(範囲))BMI(kg/m2, 中央値(範囲))肥満 / 非肥満(n)喫煙状況(n) 喫煙中 禁煙(喫煙歴あり) 喫煙歴なし 不明CLZ投与量(mg/日, 中央値(範囲))300(175−500)BMI, Body mass index; CLZ, クロザピン。 文献 9)より引用、 改変。患者 本研究には10名の患者が登録された。患者情報は表1に示した。年齢中央値(範囲)は39歳(26−50歳)、体格指数(BMI)中央値は20.7 kg/m2(16.7−29.1 kg/m2)であった。CLZの血中濃度に影響を与える可能性がある肥満や喫煙状況など、その他のプロファイルも表1に示した。薬物治療 すべての患者にCLZ(Clozaril®; Novartis Pharma Ltd.、Tokyo、Japan)が投与され、アドヒアランスは医師、看護師、または家族が確認した。また、他の向精神薬を投与されている患者はいなかった。血液サンプルは投薬直前に採取した(トラフサンプリング)。TRS患者の血中CLZおよびN-デスメチルクロザピン(norCLZ)の定量は、当研究室で確立した方法を用いて行った10)。薬物代謝酵素およびトランスポーター遺伝子多型のジェノタイピング 血液サンプルからのゲノム抽出は標準的な手順で行った。ターゲット遺伝子のプロモーター、イントロン、およびエクソンを特異的に増幅するためのプライマーを用い、ゲノムDNA(10〜20 ng)を鋳型として、2 × AmpliTaq GoldTM 360 Master Mixを用いて増幅した。反応混合液には、10〜20 ngのゲノムDNA、各プライマー0.5 μM、および2 × AmpliTaq GoldTM 360 Master Mixが含まれ、最終容量は20 μLとした。PCRのプロファイルは、①95 ℃, 10分の初期変性(denature)の後、②95 ℃, 30秒、60 ℃, 1分(アニーリング)、72 ℃, 1分(伸長)を30サイクル行い、最後に③72 ℃, 7分の最終伸長反応を行う設定とした。 CYP2D6配列全体の増幅には、ゲノムDNA(10〜20 ng)を鋳型として、50 × PrimeSTAR® GXL DNA Polymeraseを用いて増幅した。反応混合液には、10〜20 ngのゲノムDNA、各プライマー0.2 μM、および50 × PrimeSTAR® GXL DNA Polymeraseが含まれ、最終容量は20 μLとした。PCRのプロファイルは、①95 ℃, 5分の初期変性(denature)の後、②98 ℃, 10秒、68 ℃, 5分(アニーリングおよび伸長)を30サイクル行い、最後に③72 ℃, 7分の最終伸長反応を行う設定とした。CYP2D6のエクソン増幅時に用いるPCR酵素、反応混合液の内容、およびPCRプロファイルは、他の酵素やトランスポーターと同様とした。また、CYP2D6のコピー数解析のコントロールには、2コピーと判明しているDNAサンプルを使用した。試薬・材料 CLZはSanta Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA、USA)から購入した。norCLZはSigma-Aldrich(St. Louis、MO、USA)から購入した。ヒトOATP2B1細胞株を確立するためのプラスミドベクター(pRP[Exp]-Neo-CAG>hSLCO2B1[NM_ 007256.5])はVectorBuilder(Kanagawa、Japan)から購入した。AmpliTaq GoldTM 360 Master MixはThermo Fisher Scientific Inc.(Waltham、MA、USA)から購入し、PrimeSTAR® GXL DNA PolymeraseはTaKaRa(Shiga、Japan)から購入した。その他のすべての試薬について、市販されている中で最高純度のものを使用した。治療抵抗性統合失調症患者のクロザピン血中動態変動へのOATP1B1の影響1039(26−50)20.7(16.7−29.1)2 / 859
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