臨床薬理の進歩 No.46
67/216

*カルベジロール換算; †エナラプリル換算. Ccr:クレアチニンクリアランス、BNP:脳性ナトリウム利尿ペプチド、ACEI:アンギオテンシン変換酵素阻害薬、ARB:アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、SGLT:ナトリウム・グルコース共役輸送体、CRT-D:,両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器文献 11)より引用、改変。考  察モデル 3オッズ比 (95%信頼区間)6.24 (1.63−23.92)0.70 (0.46−0.99)0.70 (0.16−3.01)表2 心不全入院の予測因子(単変量解析)変数年齢, 歳男性, 名Body mass index, kg/m2虚血性心筋症, 名収縮期血圧, mmHg心拍数, beats/minuteヘモグロビン, g/dLヘモグロビン低値, 名アルブミン, g/dL総ビリルビン, mg/dLCcr, mL/minuteナトリウム, mEq/Lカリウム, mEq/LLog BNPトランスフェリン飽和度, %0.97 (0.90−1.02)鉄欠乏, 名左室駆出率, %β遮断薬内服量, mg/日*ACEI/ARB内服量, mg/日†SGLT2阻害薬, 名CRT-D, 名表3 心不全入院の予測因子(多変量解析)変数ヘモグロビン低値, 名ヘモグロビン, g/dL鉄欠乏, 名モデル1は年齢と性別の因子を含む。モデル2は年齢、性別、log BNPの因子を含む。モデル3は年齢、性別、log BNP、β遮断薬の因子を含む。文献 11)より引用、改変。単変量解析オッズ比 (95% 信頼区間)p値1.03 (0.98−1.09)0.2271.26 (0.42−3.79)0.6721.14 (0.95−1.36)0.1471.60 (0.45−5.80)0.4870.99 (0.93−1.05)0.7171.02 (0.96−1.06)0.4610.79 (0.58−1.06)0.1164.05 (1.13−14.57)0.0320.81 (0.20−3.14)0.7601.73 (0.64−4.21)0.2680.99 (0.96−1.02)0.5221.04 (0.88−1.24)0.7200.50 (0.08−2.12)0.3823.49 (0.75−18.88)0.1120.2411.06 (0.33−3.39)0.9181.02 (0.97−1.07)0.5071.06 (0.99−1.15)0.0991.05 (0.94−1.14)0.3461.04 (0.33−3.33)0.9450.82 (0.29−2.35)0.715モデル 1オッズ比 (95%信頼区間)p値4.75 (1.28−17.61)0.0100.77 (0.57−1.03)0.0811.18 (0.35−3.92)0.787p値0.0030.0450.634心臓移植待機中の重症心不全患者においてヘモグロビンは心不全入院の予測因子となるモデル 2オッズ比 (95%信頼区間)p値6.26 (1.69−23.12)0.0020.70 (0.49−0.97)0.0301.41 (0.43−4.68)0.566 BNPは、年齢、性別、ヘモグロビンで調整後も心不全入院の独立した予測因子であったため(OR 4.45、95%CI 1.09−20.30、p=0.042)、2つの独立した予測因子であるヘモグロビンとBNPを使用して心不全入院回避生存率を評価した。ROC曲線を用いて、ヘモグロビンとBNPのカットオフ値はそれぞれ12.8 g/dLと493 pg/mLに設定した。 カプランマイヤー法による生存分析では、心不全入院回避生存率は4グループ間で有意に異なり、ヘモグロビンが低くBNPが高いグループ(D群)が最も心不全入院回避率が低かった(100%[A群]、70.0% [B群]、55.6%[C群]、0%[D群]、p=0.0005、図3)。 貧血は心不全の予後および生活の質に関連する独立した因子であるが、重症心不全における貧血の原因と臨床転帰への影響、および最適な治療法については十分に解明されていなかった。本研究では、重症心不全患者の臨床転帰に対するヘモグロビンの影響を調べることを目的とした。現在までに、心臓移植対象患者の臨床転帰を調査した研究はほとんど行われていない。本研究では、ステータス2として心臓移植登録された重症心不全患者(NYHAⅢまたはⅣ度の心不全症状を有するが、静注強心薬や機械的循環補助を必要としない患者)におけるヘモグロビンの分布を明らかにし、ヘモグロビンの臨床転帰に対する影響を解析した。3853

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る