臨床薬理の進歩 No.46
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心不全入院回避生存率(%)0p19 14 19 13 14 13 13 11 7 7 ログランク検定=0.020100806040200 100 ヘモグロビン高値群(n=19)ヘモグロビン低値群(n=19)200 300 (日)リスク人数ヘモグロビン高値群ヘモグロビン低値群図2 ヘモグロビンの中央値で分けた心不全入院回避生存率カプランマイヤー法による生存分析により、ヘモグロビン高値群とヘモグロビン低値群の心不全入院回避生存率を示す。1年間の心不全入院回避生存率はヘモグロビン低値群で有意に低値であった(40.9 vs 81.9%、p=0.020)。文献11)より引用、改変。用いた単変量解析の結果である。ヘモグロビン低値(12.9 g/dL未満)は、心不全入院と有意に関連していた(OR 4.05、95%CI 1.13−14.57、p=0.032)。年齢、総ビリルビン、クレアチニンクリアランス、鉄欠乏の有無、BNPは心不全入院との関連は有意でなかった。表3に多変量解析の結果を示す。年齢と性別(OR 4.75、95%CI 1.28−17.61、p=0.010、モデル1)、年齢、性別、BNP(OR 6.26、95%CI 1.69−23.12、p=0.002、モデル2)、年齢、性別、BNP、β遮断薬の有無(OR 6.24、95%CI 1.63−23.92、p=0.003、モデル3)で調整後も、ヘモグロビン低値は心不全入院の独立した予測因子であった。さらに、連続変数としてのヘモグロビンも、年齢、性別、BNPで調整後(OR 0.70、95%CI 0.49−0.97、p=0.030、モデル2)および年齢、性別、BNP、β遮断薬の有無で調整後(OR 0.70、95%CI 0.46−0.99、p=0.045、モデル3)も心不全入院の独立した予測因子であった。52いた。臨床転帰 両群とも、移植登録から1年以内に死亡または心臓移植を受けた患者はいなかった。心不全入院は、ヘモグロビン低値群で11名、ヘモグロビン高値群で3名に発生した。カプランマイヤー法による生存分析では、ヘモグロビン低値群の心不全入院回避生存率はヘモグロビン高値群よりも有意に低いことが示された(40.9 vs 81.9%、p=0.020、図2)。観察期間中に心房細動または心室不整脈を新たに発症した患者はいなかった。心不全入院の予測因子 単変量および多変量Cox比例ハザードモデルを用いて心不全入院に関連する因子を特定した。表2は、登録時の患者背景、バイタルサイン、臨床検査データ、心エコーデータおよび治療内容を

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