臨床薬理の進歩 No.46
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p value<0.001p value0.072(0.0037–0.41)<0.0010.08(0.0041–0.46)<0.0010.21(0.057–0.62)<0.0010.30(0.18–0.47)<0.0010.32(0.11–0.84)0.0130.39(0.20–0.72)<0.0010.46(0.27-0.74)<0.001表3 デキサメタゾン使用症例の筋萎縮報告頻度筋萎縮の報告頻度ROR: Reporting Odds Ratio表4 筋萎縮抑制薬候補の抽出薬剤クロルフェニラミン抗アレルギー薬Drug A抗ウイルス薬Drug BDrug C胃酸分泌抑制薬Drug D浸透圧利尿薬Drug EDrug Fデキサメタゾン使用症例デキサメタゾン非使用症例0.43%(1,264/297,079)分類薬剤併用あり(%)薬剤併用なし(%)オッズ比(95%CI)1/3,199(0.031)1/2,897(0.034)3/3,271(0.091)抗菌薬18/13,553(0.132)4/2,869(0.139)制吐薬10/5,920(0.168)17/8,489(0.200)制吐薬医療ビッグデータを用いたサルコペニア治療薬の開発ROR (95%CI)0.30%(98,387/33,124,395)1.43(1.36-1.52)1,263/292,616(0.431)1,263/292,918(0.431)1,261/292,544(0.431)1,246/282,262(0.441)1,260/292,946(0.430)1,254/289,895(0.432)1,247/287,326(0.434) 初めに、デキサメタゾン使用症例における筋萎縮の報告頻度を検討したところ、デキサメタゾン使用症例は非使用症例に比べ、有意に筋萎縮の報告頻度が高いことが明らかとなった(表3)。 続いて、デキサメタゾンに各種の薬剤を併用した際の筋萎縮報告への影響に関して評価した。その結果、表4に示す7薬剤で、筋萎縮の報告頻度が有意に低下することが示唆された。中でも、クロルフェニラミンは一般用医薬品としても市販されており8)、世界中で70年以上の使用歴がある。ヒトに対する安全性も確立しているため、クロルフェニラミンをサルコペニアの新規治療薬候補として検討を進めた。パスウェイ解析 Atroginは、筋萎縮の際のタンパク分解の働きを担う主要な因子であることが知られている。 オミクスデータ解析の結果、クロルフェニラミンは、NOS2の遺伝子発現量を低下させることで、mTORを介したAtroginの遺伝子発現上昇を抑制する可能性が示唆された(図3)。リアルタイムPCR 続いて、筋タンパクの分解にかかわるユビキチンリガーゼであるAtroginの遺伝子発現量に関して、リアルタイムPCR法により評価した。デキサメタゾン曝露群では、筋細胞中のAtrogin遺伝子発現が有意に増加していた。クロルフェニラミンをデキサメタゾンと共処置すると、Atrogin遺伝子発現増加が有意に抑制されていることが示唆された(図4)。細胞生存率評価 クロルフェニラミンが筋芽細胞の細胞増殖に与える影響を評価した。デキサメタゾンの曝露によって、筋芽細胞の細胞生存率は有意な減少が認められた。一方で、デキサメタゾンにクロルフェニラミンを併用した群では、細胞生存率の減少が有意41

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