謝 辞利益相反のPKも変動する可能性が示唆された(図6C)。オゾラリズマブのCminモニタリングは、有効性の予測や異なるMOAを有する他剤への変更のディシジョンメイキングに有用である可能性が示唆された。今後、オゾラリズマブの有効性のCmin濃度閾値およびADAの臨床的関連を明らかにするための多施設共同研究を計画し、更に多くの症例をリクルートして検討していく予定である。 最後に、今回の報告時点においてIMPACT研究が進行中であったため、中間解析の結果を主に報告させていただいた。今後、抗体医薬品を用いた治療の個別最適化に資するエビデンスの創出に向けて、当該臨床薬理研究(1000人抗体プロジェクト、jRCT1011220023)を推進していく予定である。 本研究を遂行するにあたり、貴重な研究助成を賜りました公益財団法人臨床薬理研究振興財団に深く感謝の意を表します。また、ADA評価に関して、技術的な助言を賜りました石井明子部長(国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部)に感謝申し上げます。ウステキヌマブに関する研究成果の一部は、第44回日本臨床薬理学会学術総会において、口頭発表いたしました。また、オゾラリズマブに関する研究成果の一部は、第45回同学術総会において、口頭発表する予定です。 最後に、本研究への参加にご協力をいただきましたすべての患者さんと各診療科の医師および検査部のスタッフ、薬剤部の諸氏にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。 本研究に関して開示すべき利益相反はありません。10オフ値(2 µg/mL)とよく一致していることが判明した14)。全体的にPKプロファイル(Cmin、Cmax)は、過去の報告とよく対応していたが、日本人IBD患者におけるその免疫原性(ADA陽性割合、最大抗体価)は、概して低いことが今回初めて明らかとなった15,16)。一方、ADA陽性患者全例(4名)において、皮下投与後のCminが有効性の最適カットオフ値2 µg/mLを下回っており、またADAが持続的陽性となった1名では、薬物の消失半減期が短縮していることが明らかとなった。したがって、ウステキヌマブに対するADA産生は、薬物のクリアランス増大と血中濃度の低下に影響を及ぼす可能性、さらにCminモニタリングは、有効性の予測に有用である可能性が示唆された。今後、ウステキヌマブ療法の個別最適化に向けて、PKとADAに対するproactive TDMの臨床的有用性を前向きに実証する必要がある17)。 また、本研究において構築したオゾラリズマブのPKおよびADA評価系を用いて、実臨床におけるオゾラリズマブのPKプロファイル(図6A)やADAの発現状況について調べることが可能となった。なお今回、解析対象の症例数が8名と限られていたため、ADA陽性患者が認められなかったと考えられる。16週目に無効中止となった症例(case 1、図6B)のPKに関して、平均的なt1/2であったため、薬物のクリアランス増大が一次無効の原因ではないと考えられた。一方、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤ウパダシチニブに変更後、疾患活動性が速やかに改善していたことから、本症例のRA病態において、TNFが主要な役割を果たしていなかった可能性が考えられた。また、NEWTARGET研究(jRCT1011240022)の一環として、本症例のウパダシチニブ(1日15 mg)服用後の血中濃度をLC-MS/MS法によって測定した。その結果、薬物血中濃度が経時的に上昇する傾向が認められ、炎症反応とRA病態の改善に伴って、ウパダシチニブ
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