結 果ADA評価 著者らは既に、ニボルマブおよびペムブロリズマブに対するADA評価系を構築し、それを参考に酸解離ブリッジングELISAを用いて、ウステキヌマブおよびオゾラリズマブに対するADAの発現状況を3段階アプローチによって評価した5)。ウステキヌマブに対する市販のウサギ由来ポリクローナル抗体(GenScript社)をADA評価系の陽性対照として用いた。一方、オゾラリズマブに対する市販のADAを入手することが不可能であったため、本剤をウサギに免疫してカスタム作製したポリクローナル抗オゾラリズマブ抗体(コスモ・バイオ社)をADA評価系の陽性対照として用いた。臨床アウトカム評価 治療継続性の評価に関して、無効または死亡による治療の中止を治療失敗として定義し、寛解または重篤な有害事象による中止や手術による中断、その他の理由(経済的理由等)による治療の中止、転院による観察終了はすべて打ち切りとした(データカットオフ日:2024年6月18日)。 ウステキヌマブおよびオゾラリズマブの有効性は、臨床的寛解を用いて評価した。寛解導入療法に対する反応性が得られない、または寛解維持療法に対する効果が不安定で他剤への変更またはその検討を必要とする場合をno/unstable clinical remissionと定義した。一方、臨床的寛解を達成しそれを維持している場合をstable clinical remissionと定義した。有害事象の重症度は、CTCAE v5.0を用いて評価した。統計解析 単変量および多変量ロジスティック回帰分析を用いて、治療前および治療期間中における抗菌薬曝露と性別、年齢の患者背景因子を含めて、治療失敗と関連するリスク因子を検討し、オッズ比およびその95%信頼区間(confidence interval:CI)を推定した。治療継続率はKaplan-Meier法を用いて抗体医薬品のPK-ADA解析を基盤とした治療最適化に資するリアルワールドエビデンスの創出推定し、2曲線の比較にはlog-rank検定を用い、ハザード比およびその95% CIを推定した。対応のない2群間のノンパラメトリックデータの比較には、Mann-Whitney U検定を用いた。臨床的寛解と関連するウステキヌマブのCminの最適カットオフ値は、ROC曲線のYouden indexを用いて算出した。すべての統計解析は、STATA17ソフトウェアを用いて実施し、両側検定におけるp値が5%未満を統計学的に有意差ありと判定した。対象患者 本研究で対象としたIMPACTコホート422名の患者背景を表1に示す(年齢中央値51 [12–89] 歳、男性158名/女性264名)。抗体医薬品を用いた治療開始前に抗菌薬を使用していた患者が36名、治療期間中に抗菌薬を併用していた患者が79名含まれていた(表2)。抗菌薬の種類に関して、セファロスポリン系薬剤が最も多く、次いでフルオロキノロン系薬剤とST合剤等が用いられていた(表2)。抗体医薬品の治療失敗リスク因子 単変量ロジスティック回帰分析の結果、過去の抗菌薬の使用歴は、抗体医薬品の治療継続性に影響しなかった(表3)。一方、治療期間中の抗菌薬の併用および女性と65歳以上は、referenceと比べて抗体医薬品の治療失敗リスクの有意な上昇と関連することが明らかとなった(表3)。多変量解析の結果、治療期間中の抗菌薬の併用(オッズ比 3.12、95% CI 1.64–5.96、p=0.001)と女性(オッズ比 3.00、95% CI 1.44–6.26、p=0.003)が、抗体医薬品の治療失敗リスクと正の相関が示された(表3)。また、抗菌薬併用群における抗体医薬品の治療継続率は、非併用群と比べて有意に低かった(ハザード比 2.76、95% CI 1.93–8.14、log-rank p=0.0002、図1)。3
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