結 果代謝マーカーの測定 総コレステロール(Total Cholesterol:TC)、トリグリセリド(Triglycerides:TG)、高密度リポタンパク質(High-Density Lipoprotein Cholesterol:HDL-C)、低密度リポタンパク質(Low-Density Lipoprotein Cholesterol:LDL-C)、HbA1cは、JEOL 社の JCA-BM6010 装置を使用して標準法に従って測定した。 総アディポネクチン、High-Molecular-Weight Adiponectin(HMWアディポネクチン)は、ELISA キット(R & D Systems、Inc.、東京)を使用し、製造元のプロトコルに従って測定した。統計解析 健康成人群を対照として、統合失調症患者で得られた各測定値について2群間で比較した。連続変数は、中央値(最小値-最大値)で表記した。解析ソフトはJMP Pro ver.17(SAS Institute Japan株式会社、東京)を用いた。中央値に基づいたノンパラメトリック検定であるMann-WhitneyのU検定を行い、p<0.05を統計学的に有意差ありとした。研究対象者の背景 本研究のサンプルは、統合失調症の薬物療法を受けている患者と健康成人から収集された。除外基準に抵触した患者を除外し、統合失調症群(S群)37名と健康成人群(H群)の39名が解析対象となった。研究対象集団の特徴を表1に示す。H群に比較してS群の体重およびBMIは、男性では有意に低く、女性では有意に高かった。その他、年齢、脂質、HbA1cなどは男性女性ともに群間差はみられなかった。 S群の4つの陽性および陰性症候群スケール (Positive and Negative Syndrome Scale:PANSS) サブスケールの平均スコアは、positive 19(7-36)、negative 18(9-40)、general 34(18-60)、合計70 (38-136)であった。統合失調症患者および健康成人における唾液中および血液中アディポネクチン濃度に関する検討 2) 研究担当医師により精神疾患簡易構造化面接方法を用いて精神疾患に罹患していると判断された者 3)口腔内乾燥の症状がある者 4) 現在喫煙中の者、または禁煙継続期間が1年未満の者 5) アレルギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎)の自覚症状があり、その治療薬を服用中の者 6) 研究担当医師の判断により不適格と判断された者倫理的配慮 本研究は昭和大学烏山病院臨床試験審査委員会で承認を得たうえ、本人に十分な説明を行い、研究参加の同意が文書で得られた者のみを対象とした(承認日:2020年3月26日、承認番号:B-2019-039)。血液検体の採取 採取前日の夕食摂取後は絶食(飲料は水のみ可)とし、採取当日は朝食摂取前の8:00~10:00に採血を行った。血液検体は原則として、研究参加者の前腕部皮静脈より真空採血管で血液を採取した。転倒混和後、血液は3,000 rpmで5分間遠心後、上清を500 μLずつ分注し、測定まで−80℃以下で保管した。唾液検体の採取 唾液採取は血液採取終了後に無刺激唾液を採取した。 採取前日の夕食摂取後は絶食(飲料は水のみ可)とし、唾液採取を行う1時間前から食事、歯磨きを控えた。唾液採取前に水で口をすすぎ、その10分後から唾液の採取を開始した。ストローを刺したストローを通してチューブに移し5 mL採取した。得られた唾液は 15,000 rpm で 15 分間遠心分離し、不溶性物質を除去した。上清を1 mLずつ分取したのち、分析まで−80℃で凍結保存した。15 mLチューブを氷中に置き、口に溜まった唾液は139
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