臨床薬理の進歩 No.46
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謝  辞利益相反13集団のPGx関連遺伝子バリアントの大規模アノテーションデータベースの構築に分けられたため標準治療だけではすべての患者が有害事象を避けつつ最大限の効果を得ることが難しいことが考えられる。そのためPGx検査情報に基づいた用法・用量の設定が必要である。しかし本邦ではCYP2C19のPGx検査は保険収載されておらず医師や患者が希望しても検査することができない。そのためCYP2C19の基質薬物であるエスシタロプラム、クロピドグレル、プロトンポンプ阻害薬においては可及的速やかにCYP2C19遺伝子検査を保険収載する必要があると考えられる。加えてCYP2B6*6が高頻度であるインドネシアではエファビレンツ、アジア集団の中で唯一CYP2C9のPMが1.0%認められたタイではNSAIDs、CYP2D6活性が低い患者が多いベトナムでは向精神薬やタモキシフェンなどCYP2D6基質薬物のPGx検査が必要であり、ひいては各集団に適切な用法・用量を提案することが必要になるかもしれない。 本研究ではアジアを中心とした13集団の、薬剤の効果や有害事象の発現リスクに関係するPGx関連遺伝子のバリアントの大規模データベースを構築した。PGxバイオマーカーを世界的に普及させるためには今後さらにサンプル数や集団を増やし、データベースの拡充が必要である。 本研究を遂行するにあたり、研究助成を賜りました公益財団法人臨床薬理研究振興財団に深謝申し上げます。また、本研究に検体を提供していただいた患者様に厚く御礼を申し上げます。 本研究に関して開示すべき利益相反はありません。119

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