図3の続き三環系抗うつ薬ボリコナゾール図3の続きベンラファキシンボルチオキセチン図2B)。このアクティビティスコア0.5のカテゴリーはIMに分類されているが、IMの中でも酵素活性が最も低いカテゴリーであり、IMの他のアクティビティスコアである患者と比較してCYP2D6の基質薬物の血中濃度が高くなり有害事象が発生したり、薬物の治療効果が高くなったりすることが考えられる。世界の様々な集団でPGx関連遺伝子のジェノタイピングが行われ11)、1000ゲノムプロジェクトにおいて、東南アジア集団としてベトナムや南中国集団がシークエンシングされている3)にもかかわらず同じ東南アジア集団であるインドネシアのCYP2B6*6の頻度が極めて高い (43.4%、図1C) ような知見が同定されている(1000 ゲノムプロジェクトのベトナム (KHV) のCYP2B6*6の頻度は21.1%、南中国(CHS)は15.6%)3)。そのため、今後もPKseqパネルを用いて様々な集団をシークエンシングすることが必要である。 本研究を通してPGx検査によって標準とは異なる薬物治療を必要とする患者の頻度が高い集団が確認された。特にCYP2C19は最も多くのフェノタイプ118Testing Reference Material Program (GeT-RM)10)のPGx部門においても様々なプラットフォームで同じゲノムがジェノタイピングされた。しかし複数のプラットフォームで決定される遺伝子型が一致せず、最終的な正解遺伝子型を決定することができていない10)。本研究においてもディプロタイプ決定において矛盾が生じたため、Unknownのジェノタイプと判定された患者が見られた。今後ロングリードシークエンサーなどを用いて完全な遺伝子型が決定されているPGx標準ゲノムを作成し、ゴールドスタンダードとなるジェノタイピング方法を確立する必要がある。 本研究では東南アジアからの9つの集団を対象としている。CYP2B6遺伝子の酵素活性を低下させる最も高頻度なアリルであるCYP2B6*6の頻度がインドネシアにおいて43.4%を示した(図1C)。これは世界で報告されているCYP2B6*6の頻度の中で最も高い数値である。また、ベトナム集団においてCYP2D6のアクティビティスコアが0.5を示すグループの頻度が最も高くなっている(48.2%、
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