写真 3 Dr.Steidl の自宅でバーベキューパーティー(ほぼ給料と同義)が支給され、さらに Medicalは Stipend をもらいながら PhD と MD の両方の(PhD コースが 3 人、MSTP コースが 2 人)、ポの領域では近隣の Columbia 大学や New YorkBlood Center、Mount Sinai Hospital、SloanKettering Cancer Center と定期的に研究会が開催され、論文未発表の最新のデータで議論することができました。アインシュタインでは、MDコースに進むためには高額な授業料が必要ですが、PhD コースの人には Stipend という奨学金ScientistTrainingProgram(MSTP)コースの人資格を取ることができるというシステムでした。一方で、ラボで働いた経験やテクニックを得るためにボランティア(無給)で働く人も普通にいて、夏休みを利用して PCR や実験マウスの扱いなどを学びにきている高校生もいました。テクニックや経験だけでなく、有名な研究者とのつながりや一緒に働いた経験が学校の成績と同じ程度に重要視されている印象でした。私が在籍していた Dr. Steidl ラボは Cell Biology とStemCellInstitute という 2 つの研究部門に属しており、テクニシャンが 2 〜 3 人、大学院生は 5 人スドクはインド人が 2 人、オーストラリア人がアルバート・アインシュタイン医科大学留学報告1 人、日本人が 3 人という構成でした。ボスのDr.Steidl は私の留学中に CellBiology のトップとなり、また、2023 年には InternationalSocietyof Experimental Hematology の学会長もされていて、多忙を極めていました。しかし、「I am alast five minutes’man」と話していたのが印象的で、そういう自虐的なユーモアで場を和ませるのは世界共通なのだなと感じました(写真 3)。毎週木曜日の午後 1 時から午後 3 時までラボミーティングが開かれ、ラボメンバーの 1 人が 2 時間かけて自身の進捗状況を発表し、そのほかのメンバーはボスのポケットマネーから用意されたフリーランチを食べながら発表を聴きます。ミーティングではほぼ全員が発言し、新しい実験の提案や結果の解釈など、毎回すごく白熱した議論が繰り広げられていました。加えて、CellBiologyと StemCellInstitute の全体ミーティングが毎週あり、そこでもフリーランチが振る舞われ、各ラボから 2 人ずつ 30 分発表する機会がありました。PhD やポスドクは trainee と位置付けられ、発表や討論の機会がたくさん与えられますし、人前で自分の意見を述べる経験をできるだけ積ませるというのがアインシュタインの方針のよう163
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