臨床薬理の進歩 No.45
171/222

50μm50μm50μm結  果免疫組織染色 成体ラット小脳の凍結組織をクライオスタット固定を行った。固定した切片を再水和、ついで10%ヤギ血清を含むリン酸緩衝生理食塩水により室温で 40 分間ブロックした。その後、希釈した患者血清(1:100)と室温で 1 時間インキュベートした。リン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、切片を Alexa-Fluor 488 ヤ ギ 抗 ヒ トIgG(1:1000、Molecular Probes、Eugene、OR)及び Hoechst 33,342(1:1000、Nuclear Probes、CellStain)と室温で 1 時間インキュベートした。蛍光画像は共焦点レーザー走査型顕微鏡システム(LSM710; Carl Zeiss AG、Oberkochen、Germany)で撮像した。 上記の方法で、対象及び対照者の血清を用いて免疫組織染色を行い、血清中に含まれる抗小脳抗体を検出した。免疫組織染色における陽性率を各群で比較した。ついで、免疫組織染色の結果から認識抗原の分布を元にして、抗小脳抗体陽性 ISA をし、臨床的特徴を検討した(図 2)。統計処理 連続変数については Kruskal-Wallis 検定または図 2 免疫組織染色による抗小脳抗体の同定抗体陰性例(A)、neuropil pattern(B)、intracellular pattern(C)を示す。GL; granular cell layer(顆粒細胞層)、ML; molecular layer(分子層)、PL; Purkinje cell layer(プルキンエ細胞層)ABC小脳性運動失調症における自己免疫異常の解明と治療法の確立に向けたアプローチ一元配置分散分析、カテゴリー変数についてはカイ二乗検定または Fisher の正確検定を用いて算出した。p 値が 0.05 未満である場合に有意と判断した。 310 例のうち、臨床情報の不明な症例 26 例を除外した。その後、SPORTAX 基準を用いて、発症年齢や家族歴から 36 例、MSA-C や HA 50 例、臨床・画像・検査所見から他の診断が妥当な症例 131 例を除外した。最終的に、67 例が ISA として抽出された。これらの 67 例は、既知の抗神経抗体(mGluR1、IgLON5、GAD、VGCC、neurochondrin、GluD2、Caspr2)、及び傍腫瘍性神経症候群関連抗体を測定し、陰性であることを確認した(図 1)。 各群の女性は、ISA 27 例 (40.3%)、MSA-C 18 例(60.0%)、HA 12 例(60.0%)、健常者 13 例 (72.2%)であった。発症時の年齢の中央値は、ISA 60 歳、MSA-C 58 歳、HA 55 歳であった(表 1)。ISA における抗小脳抗体陽性率は他の群よりも高率であった ISA、MSA-C、HA、健常者における免疫組織染色での抗小脳抗体陽性率は、30/67 (44.8%)、3/30で 7μm 厚の切片に切り出し、氷上で 20 分間アセトンneuropil pattern、intracellular pattern、陰性群に分類155155

元のページ  ../index.html#171

このブックを見る