臨床薬理の進歩 No.45
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KⅠ(µM)kinact, max(min-1)0.11111101000.010.1ことから、これら二種のマクロライドの MBI パラメータは、活性中心での結合様式が異なる基質(少なくとも テストステロンとミダゾラムに限っては)を用いて評価しても大きな差異はないと考えられる。この理由としては、2 つの基質でヘムと相互作用するサイトが少なくとも一部は共通である可能性が考えられる。事実、これらの基質間で、高親和性結合部位が一部 overlap していることが報告されている 4)。一方、ミダゾラムには、本研究で指標とした 1-水酸化部位以外にも、4-水酸化部位が存在し、それぞれは独立した結合サイトにおいて活性中心と相互作用すると考えられている 4)。本研究では、定量限界による制約のため、4-水酸化部位を指標とした検討はできなかったものの、この 4-水酸化0.1101000.010.1WT.16.7WT.16.7WT.2.7WT.2.7.18.18.2.18.16.2.18.16考  察図 3 エリスロマイシンとクラリスロマイシンの MBI パラメータの比較5種のCYP3A4変異型(WT、.2、.7、.16、.18)におけるMBIパラメーター、KI (a、b) とkinact,max(c、d)、について野生型(黒実線)に対する相対値として示す。青実線はミダゾラム、は青点線はテストステロン9)を基質とした際の値を示す。(a) エリスロマイシン(c) エリスロマイシン(b) クラリスロマイシン(d) クラリスロマイシン148いずれも有意でないものの、エリスロマイシンに対する kinact,max 値と KI 値に関して、それぞれ0.50、0.70 となった。また、クラリスロマイシンに対する kinact,max 値に関してはρ=0.30、KI 値に関してはρ=0.60 となった。 本研究においては、ミダゾラム 1-水酸化を指標に、エ リ ス ロ マ イ シ ン と ク ラ リ ス ロ マ イ シ ン のCYP3A4 代謝活性に対する MBI キネティクスを、variants 間で比較した。この得られた結果と、テストステロン 6-水酸化活性を指標にして得られた結果を比較すると(図 3)両者は良好に対応していた

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