臨床薬理の進歩 No.45
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kinact,max /KI (min-1・µM-1)KI (µM)kinact,max (min-1)kinact,max は、エリスロマイシンの場合と同様に結  果エリスロマイシン クラリスロマイシン エリスロマイシン クラリスロマイシン エリスロマイシン クラリスロマイシン0.0694 ±0.00254*0.0525 ±0.00444*0.0348 ±0.0008080.0403 ±0.0008020.0656 ±0.00310表1 CYP3A4 variantsのミダゾラム代謝に対するエリスロマイシンおよびクラリスロマイシンのMBI キネティクス パラメータCYP3A4 WTCYP3A4.2CYP3A4.7CYP3A4.16CYP3A4.18[I][I]+KI∆kobs = kinact,max・1.85(1.57 〜 2.17)1.83(1.51 〜 2.21)0.689(0.464 〜 1.02)2.69(2.35 〜 3.09)1.53(1.27 〜 1.86)*0.103 ±0.01350.0323 ±0.005660.0463 ±0.007090.0247 ±0.004650.0705 ±0.02140.0549 ±0.02030.0239 ±0.009830.00734 ±0.001350.0379 ±0.00713kinact,max値はarithmetic mean±S.D.、KI 値はgeometric mean(-1S.D.〜+1S.D.) を表す。n=5。*p < 0.05(vs テストステロン(ref9))kinact,max/KIはarithemetic mean±S.D.。0.116 ±0.02490.0589 ±0.002780.677(0.581 〜 0.789)*0.0446 ±0.00238*1.14(1.00 〜 1.29)0.0361 ±0.003140.512(0.376 〜 0.698)0.0196 ±0.002011.82(1.13 〜 2.96)0.580(0.438 〜 0.769)*0.0575 ±0.00399*⋯ Eq.1p < 0.05 を統計学的に有意とした。 エリスロマイシンおよびクラリスロマイシンはいずれも、CYP3A4 各変異型分子種におけるミダゾラム 1-水酸化活性を時間依存的に阻害した(図 1)。またその不活性化速度∆kobs は濃度依存的に上昇した(図 2)。各変異型分子種に対するエリスロマイシンの kinact,max は、CYP3A4.2、.7、.16、ではそれぞれ野生型の 0.76、0.50、0.58 と、変異型では最大不活性化速度が低下した(表 1)。一方 KI 値に関しては、CYP3A4.7 と .18 ではそれぞれ野生型の 0.76 倍、0.86 倍と不活性化強度が上昇したのに対して、CYP3A4.2、.16 では 1.68 倍、2.69 倍と、不活性化強度が減弱した。クラリスロマイシンのCYP3A4.2、.7、.16 で低下した(0.76 倍、0.61 倍、0.33 倍 vs 野生型)。また KI 値は、CYP3A4.7、.18ではエリスロマイシンと同様にそれぞれ 0.37、0.83 倍低下、すなわち不活性化強度が上昇し、CYP3A4.16では 1.45 倍と不活性化強度が減弱した。 本研究でミダゾラムを基質として得られたエリスロマイシンとクラリスロマイシンの MBI パラメータを、テストステロンを用いて検討した我々の既報 9)の結果とともに、野生型に対する相対値として図 3146カラムオーブンの温度は 42 ℃とした。IS としてニトラゼパムを用いた内標準物質法により、ピーク面積比で濃度を測定した。各阻害剤による CYP3A4 分子種の代謝阻害パラメータの算出 代謝速度の対数と preincubation 時間との関係から、各阻害剤濃度における酵素の不活性化速度定数(kobs)を求め、この値から阻害剤非添加時の不活性化速度定数(kinact(0))を差し引いて∆kobsとした。阻害剤濃度([I])と∆kobs との関係に、非線形最小二乗法を用いて下式(Eq.1)を当てはめ、最大不活性化速度定数(kinact,max)および最大不活性化速度の 1/2 の不活性化をもたらす阻害剤の濃度(KI)を算出した。統計解析 CYP3A4 各変異型分子種におけるミダゾラムまたはテストステロン代謝活性に対するエリスロマイシン、クラリスロマイシンの kinact,max 値と KI 値の相関関係を Spearman の順位相関係数にて評価した。また、ミダゾラムとテストステロンの基質間における変異型分子種ごとの kinact,max 値およびln KI 値の統計解析は、Student の t 検定を用いた。

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