方 法パラメータ(Km、Vmax)、競合阻害定数(Ki)、時間依存的阻害定数(kinact,max: 最大不活性化速度とその半分の速度を与える阻害剤濃度 KI))を算出した。CYP3A4 各分子種の in vitro MBI 代謝阻害実験 1.5 mL チューブに 0.3 mM EDTA を含む 300 mM K+ phosphate buffer(pH = 7.4)および、CYP3A4 発現大腸菌膜画分(incubation 時の CYP 濃度:0.0125 nmol P450/mL)、エリスロマイシンまたはクラリスロマイシン(preincubation 時点での濃度は、rCYP3A4.WT、.2、.16、.18 の場合、エリスロマイシン 0、0.3、1、3、10、30 µM およびクラリスロマイシン 0、0.3、1、3、10、30 µM、rCYP3A4.7 では、クラリスロマイシン 0、0.1、0.3、1、3、10 µM)を 37 ℃で10 分間 co-incubate させた。その後 NADPH 再生系溶液(最終濃度:0.2 mM NADPH、5 mM glucose-6-phosphate、0.5 mM NADP、1 U/mL glucose-6-phosphate dehydrogenase、3 mM MgCl2)を添加し、preincubation(エリスロマイシン、クラリスロマイシン:0、5、15、30 分間、rCYP3A4.16 では、クラリスロマイシン:0、15、30、45 分間)を開始した。続いて、基質として 4 µM ミダゾラム溶液(incubation 時の濃 度:2 µM) お よ び NADPH 再 生 系、0.3 mM EDTA 入り phosphate buffer を添加し、37 ℃で 20分間の代謝反応を開始した。代謝反応後に、氷冷した methanol を 450 µL 添加して混和し、反応を停止させた。反応液に内標準物質(IS)として 0.1 µM ニトラゼパム水溶液 50 µL を添加し、混和後 4 ℃、3,500 × g で 20 分間遠心し、上清中の 1-水酸化ミダゾラムを後述の方法で HPLC-UV 法により定量した。HPLC UV 法によるミダゾラム 1-水酸化の定量 HPLC 装置としてポンプ LC-10AD および UV検出器 SPD-10AD(Shimadzu、Kyoto、Japan)を使用した。カラムは逆相カラム(Cosomosil、5C18-MS-Ⅱ、4.6 × 250 mm、ODS; Nacalai Tesque、Kyoto、Japan)を使用した。移動相として 50%(v/v)methanolを使用し、流速は 1.5 mL/min、検出波長は 245 nm、144を検討した。 他方、近年医薬品開発において注目されているin vitro to in vivo extrapolation(IVIVE)の手法を用いた in silico approach、すなわち、SimcypTM(Certara、UK Ltd)に代表される生理学的母集団薬物動態シミュレーターによる候補化合物の体内動態予測法は、様々な仮想被験者集団を対象に、その物理化学的性質や in vitro 代謝実験データ(Km;ミカエリス定数や Vmax; 最大反応速度)などから、精度よくヒトにおける体内動態を simulate することが可能となっている。実際、米国 FDA(Food and Drug Administration)においては、医薬品開発における臨床 DDI 試験の一部の代替法としてその使用が認められている。低頻度バリアント保有者のDDI リスクを評価するにあたって、対応するバリアントでの in vitro パラメータを求めることは重要であると考えられるが、関連する報告は限られており、未だ本邦 PMDA においても in silico approachを用いた評価は認められていない。そこで本研究においては、低頻度バリアントにおける DDI リスクを正しく評価する上で、遺伝的バリアントごとに in vitro試験を実施する意義を明確にすることを目的とし、in vitro データの創出と IVIVE を用いた in silico approach による遺伝的個人差を考慮した DDI のリスク評価の推進に寄与するべく検討を行った。なお、本報告書においては、in silico simulation に関する研究結果については一部論文投稿中のため、詳細は割愛させていただいた。recombinant CYP3A4 variants を用いた DDI 試験概要 CYP3A4 の野生型および変異型分子種発現プラスミドを導入した大腸菌発現系を用い、そこから膜画分を調製し、代謝および阻害実験に供した。具体的には、各 CYPs の代表的基質と特異的阻害剤を同時にインキュベートし、代謝物量を HPLC-UVにより定量することで代謝および阻害キネティクス
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