臨床薬理の進歩 No.45
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p=0.002、オルニチン;0.7、p=0.034)。カルニチンC1C2C3C4C5T1T2T3T4T5対照群メタボローム解析による代謝物解析結果 CE-FTMS によるメタボローム解析では、545種類の代謝物のピークを検出した。(アニオンモード:カチオンモード=305 種類:240 種類)。検出された代謝物のうち、65 種類で有意差を認めた。タクロリムス投与群で有意に低値であったものは 33 種類、有意に高値であった代謝物は 32 種類であった。検出した全代謝物のうち有意差を認めた代謝物のみを抽出したヒートマップを図 4に示した。代謝物で有意な変化を認めたもののうち、カルニチンおよびカルニチンに関連する代謝物は 18 種類であり、有意差を認めた全代謝物のうち最大割合である 27.7%を占めた(図 5)。カルニチンと遊離カルニチンにアシル基が結合したアシルカルニチンはタクロリムス群にて対照群と比較し有意に低値であったアセチルカルニチン ; 0.7、p=0.007、プロピオニルカルニチン;0.6、p = 0.01、ラウロイルカルニチン;0.5、p=0.02,マロニルカルニチン;0.6、p<0.0001、メタボローム解析によるタクロリムス腎症における組織内カルニチン代謝変化の同定図 4 有意差を認めた代謝物のヒートマップ縦軸は各代謝物に対応し、横軸は各個体を示す。C1~5 は対照群の各個体を示し、T1~5 はタクロリムス群の各個体を示す(n=5/ 群)。右下端のバーは色調の濃淡とZ スコアの関係性を示す。赤が濃い程平均よりも高値であり、緑が濃い程平均よりも低値であることを示す。図中の赤色と緑色は各サンプルの代謝物の Z スコア((各サンプル値(x)−代謝物の測定平均値(μ))/ 各代謝物の標準偏差(δ))の高値および低値を表している。チグリルカルニチン;0.6、p=0.02、オクタノイルカルニチン;0.7、p=0.04)。また、アシルカルニチンの一種であるアセチルカルニチンがその産生に関わるアスパラギン酸はタクロリムス群で有意に低値であった(アスパラギン酸;0.8、p<0.00001)。アスパラギン酸が産生に関与するアルギニンも低値であり(アルギニン;0.9、p=0.03)、アルギニンから産生されるホモアルギニン、グアニジノ酢酸、クレアチン、オルニチンもタクロリムス群で有意に低値であった(ホモアルギニン ; 0.7、p=0.02、グアニジノ酢酸 ; 0.5、p=0.002、クレアチン;0.7、およびその関連代謝物以外で有意な変化を認めた代謝物は、ヒスタミンに関連する代謝物が 4 種類、抗酸化に関連する代謝物が 3 種類、解糖系に関連する代謝物は 2 種類であり、有意差のある代謝物全体のうちそれらの占める割合はそれぞれ 6.1%、4.6%、3.1 %であった(図 5)。タクロリムス群(タクロリムス群 / 対照群、カルニチン ; 0.6、p= 0.02、129129

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