臨床薬理の進歩 No.45
127/222

1 n M1 n M5 μ0.5 μ0*0MMM*005 n M0.5 n M100 n M10 n McontrolK%100 n M10 n McontrolK%50 μcontrolK%50 n McontrolK%76-i76-i76-i76-i考  察図 2 PDE モデルを用いた薬剤感受性試験(A)PDE モデルのシェーマ。(B)PDE モデルを用いた抗腫瘍効果。各実験は少なくとも3 つの摘出片を用いて、免疫組織化学にてKi-67 発現割合を複数の視野で評価した(各群 n=8、平均値±標準誤差)。統計解析は Dunnett multiple comparison test にて行った。* p<0.05、** p<0.01、*** p<0.001、ns; not significant。*****ns40302010***ns40302010***40ns302010***40ns30ns2010患者由来腫瘍移植マウスモデルを用いた婦人科希少がんである中腎様癌の個別化医療開発に有効な治療開発はなかなか進まないという喫緊の課題が存在する。我々の婦人科がん同所移植PDX モデルは手術または生検から採取したヒト腫瘍をもとに高確率(80-90%)で樹立することが可能であり、ヒト卵巣がん・子宮体がんの性質を正確に保ちつつ、がんの生体内での進展を忠実に模倣する。前述のように PDX マウスモデルにおける薬剤の抗腫瘍効果はヒトでの臨床的奏効率と強く相関するため、本研究は希少がんに対する個別化医療開発の促進に大きく寄与する可能性を持つ。さらに本研究手法は他の婦人科希少がんへ用いることが可能であるのみならず、多くの診療科のがん種に対しても応用できる。 本研究の Limitation として、1 つ目は希少がんゆえに MLA の PDX モデルを 1 例のみしか樹立していないことである。今後同様の手法を国内、世界中の施設に広めることで、希少がんであっても多くの PDX モデルを作製し、どのような薬剤が真に有効であるか多施設研究として実施されることが期待される。2 つ目は PDX マウス作製には腫瘍発育 我々は婦人科希少がんである MLA の患者由来腫瘍を用いて、PDX マウスモデルを樹立した。PDX マウスによって、ヒト腫瘍の組織型・ゲノム異常・タンパク発現などを正確に保つ PDX 腫瘍を安定的に無制限に増幅させることが可能となった。患者由来腫瘍の WES より、MLA で多く認められるDriver genes と報告のある KRAS と PIK3CA のDriver genes を同定した。増幅させた PDX 腫瘍を用いた in vitro 検査(PDE モデル、3 次元オルガノイド培養モデル)にて Driver genes から候補薬剤として挙げられたトラメチニブとオミパリシブの抗腫瘍効果を確認した。さらには in vivo PDXマウスモデルによってトラメチニブとオミパリシブの併用療法が、既存治療カルボプラチンと同様に抗腫瘍効果を示し、マウス実験において高い忍容性を確認した。 MLA のような希少がんは、たとえ著しく予後が不良であっても、その実験・研究モデルの不足ゆえ113113

元のページ  ../index.html#127

このブックを見る