臨床薬理の進歩 No.45
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図 1 患者由来 MLA 腫瘍を用いた PDX マウスモデルの作製(A)MLA 腫瘍の肉眼像。腫瘍(矢印)は左広靭帯から子宮筋層まで広がっている。(B)全身麻酔下で MLA 腫瘍を同所移植してPDX マウスを作製。白矢印は腫瘍、黒矢印はヌードマウスの左卵巣と子宮角遠位を示す。(C)PDX 腫瘍。白矢印は左付属器と子宮角に発育した腫瘍、黒矢印は正常な右卵巣と子宮角を示す。(D)患者由来 MLA 腫瘍と PDX 腫瘍の HE 染色および免疫組織化学像。PDX 腫瘍は患者由来 MLA 腫瘍と同じタンパク発現を維持している。MP1 は 1 世代目のマウスに継代した PDX 腫瘍、MP2 は 2 世代目のマウスに継代した PDX 腫瘍。ATP の低下を示し、抗腫瘍効果を示した(図 3B)。また、トラメチニブとオミパリシブの低濃度併用療法はそれぞれの単剤と比較して有意な抗腫瘍効果を示した(図 3C)。 In vivo PDX マウス実験において、トラメチニブとオミパリシブの併用はカルボプラチンと同様に、コントロール群と比べて有意な抗腫瘍効果を認めた(図 4A)。投与開始後 5 週間の観察範囲内では薬剤による明らかなマウスへの副作用は認めず、体重減少も認めなかった(図 4B)。112治療で頻回に用いられるパクリタキセル、カルボプラチンはともに濃度依存性に抗腫瘍効果を示した。WES 解 析 に よ る Driver genes と し て KRAS とPIK3CA が同定されたことから、その下流シグナルを阻害するトラメチニブとオミパリシブを投与されたところ、これらも濃度依存性に Ki-67 発現の低下を示し、抗腫瘍効果を示した(図 2B)。 3 次元オルガノイド培養モデル(図 3A)において、PDE モデルと同様に、パクリタキセル、カルボプラチン、トラメチニブ、オミパリシブは濃度依存性に

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