臨床薬理の進歩 No.45
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ファーマコゲノミクス研究チームゲノムワイド関連解析(genome-wide association study; GWAS) PLINK(バージョン 2.0)を使用して、上位 3 つの主成分(principal component; PC)を共変量としてロジスティックモデルで解析した。GWAS では、マイナーアレル頻度が 0.005 未満のバリアントを除外した。Manhattan プロットは R(バージョン4.0.2)を使用し、GWAS の結果を示すために作成した。有意な関連性は、p 値が 5.0 × 10-8 未満の遺伝子座として定義した。上位 3 つの PC を調整した後の推定インフレーション係数λ GC が 1.05未満の場合、顕著なインフレーションの証拠が最小限であることを示す。患者情報の抽出 各々の共同研究施設において、患者の臨床情報は電子カルテより後方視的に取得された。低ガンマグロブリン血症の定義は投与後半年以降も低 IgG血症(IgG < 400mg/dL)が持続していること、再発DNA サンプルジェノタイピング遺伝情報血液検体臨床情報データベースの確立からの外れ値 14,15)を除外基準とした。SNP の QCとして、(1)call rate < 0.99、(2)p-values for Hardy- Weinberg equilibrium(HWE)< 1.0 × 10-6、(3)参照パネルと比較してアリル頻度差≧ 3% を除外基準とした。QC は PLINK(バージョン 1-9)を使用した 16)。遺伝子型インピュテーション 本研究の共同研究者である寺尾らによって最近開発された参照パネルを利用した 17)。本パネルは、5,760 名分の日本人の全ゲノムシーケンスデータが含まれ、72,406,123 の常染色体のバリアントと3,252,444 の X 染色体のバリアントを包括している。EAGLE(バージョン 2.3)がデフォルトの設定でジェノタイピングデータのフェージングに適用された 18)。Minimac 4 を使用してインピュテーションを行い、R2 が 0.3 を超えるバリアントのみをその後の解析に使用した 18)。リツキシマブによる重症低ガンマグロブリン血症・無顆粒球症に関連する遺伝子の探索と予測モデルの構築図 1 患者データベース構築全国の共同研究施設において、患者リクルートを行い、臨床情報・血液検体は一旦横浜市立大学小児科へ送られ、その後、全ての情報が理化学研究所生命医科学研究センターファーマコゲノミクス研究チームへ送られた。その後、臨床情報・遺伝情報を蓄積したデータベースを構築した。103103

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