結 果し、遠心後、上清 20 μL を 96 ウェルプレートの各ウェルに入れた。各ウェルにさらに 180 μL のQUANTI-Blue Solution(InvivoGen)を加えたのちプレートを 37 ℃で 30 分間インキュベートし、生じた発色の量を吸光度計(iMark、バイオラッド、アメリカ合衆国ハーキュレス市)で計測することで HEK-Blue TGF-β Cells が産生した SEAP の量を求めた。段階希釈した rhTGF- β1 を添加した細胞の SEAP の産生量を元に、軟骨組織から荷重によって遊離した活性型の TGF-βの量を推定した。軟骨から遊離した TGF-β1、β2、β3 のタンパク量の計測 荷重によって軟骨組織から遊離した TGF-β1、β2、β3 のタンパク量を Luminex analyzer を用いて定量した。計測は Magnetic Luminex Performance Assay and Human Luminex Discovery Assay(R&D Systems)および Luminex 100/200 analyzer を用い、R&D Systems が定めたプロトコールに従って行われ た。 な お こ の 計 測 で は 計 測 直 前 に Sample Activation Kit 1(R&D Systems)を用いて検体のacid activation を行ったのち計測を行った。統計検定 本研究では対応のある二群の比較は対応のあるt 検定を用いて行い、三群以上の比較は Kruskal-Wallis 検定または Freedman 検定を用いて群間の有意性を検定し、群間に有意差があると判断された場合はさらに Scheffe の多重比較検定により群間の有意性を調べた。いずれの検定についても有意水準は 5% とした。血漿と関節液中の uPA の濃度の比較 同一の症例から関節液検体と同じ日のほぼ同時刻に採取された血漿について uPA の濃度を計測し、以前計測した関節液中の濃度と比較したところ、関節液には血漿の 2 倍近い濃度で uPA が存在86て行った。滑膜組織を鋏で細切したのち、fetal bovine serum(FBS、1%、シグマアルドリッチ)、collagenase(1 mg/mL、シグマアルドリッチ)および hyaluronidase(1 mg/mL、シグマアルドリッチ)、deoxyribonuclease I(200 U/mL、シグマアルドリッチ)を含む DMEM 30 mL とともに 50 mL の遠心管に入れ、これを 37 ℃で 90 分間穏やかに震盪することで滑膜細胞を単離した。なお滑膜組織の酵素処理は組織の採取から4 時間以内に開始した。 単離した細胞は FBS(10%)、L-glutamine(0.1%)および抗生剤を含む DMEM を用いて 5% CO2 存在下に 37 ℃で単層培養により維持し、培養開始から16 時間後に培地を本研究用の培養液に切り替えた。さらにその 24 時間後に上記 2 で用意された荷重遊離タンパクを含む培養液を用いた。一部の細胞はTGF-βに対する I 型受容体の特異的阻害剤であるSB431542(Cell Signaling Technology、アメリカ合衆国ダンバース市)を 1 μM の濃度で添加した培養液を用いて培養を行った。24 時間後に細胞からRNA を抽出して cDNA を合成し、uPA(PLAU)および plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1、SERPINE1)の発現をβ-actin(ACTB)を内部標準として qPCR(LightCycler 96 System、Roche Diagnostics、スイス連邦バーゼル市)を用いて調べた。軟骨組織から遊離した活性型 TGF-βの定量 軟骨から荷重によって遊離した活性型の TGF-βの量は、TGF-βの活性に応じて secreted alkaline phosphatase(SEAP)を産生するよう遺伝子改変された HEK-Blue TGF-β Cells(InvivoGen、アメリカ合衆国サンディエゴ市)を用いて計測した。この計測では HEK-Blue TGF-β Cells を 96 ウェルプレートに各ウェル 5 × 104 個の割合で播種し、5% CO2 存在下に 37 ℃で培養を行った。翌日に培地を本研究用の培養液に交換し、そのさらに 24 時間後に軟骨からの遊離タンパクあるいは 0.01 ~ 10 ng/mL までの濃度の rhTGF-β1(R&D Systems)を含む培養液に交換した。24 時間後に培養液を回収
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