GSC に曝露し、TGFBR1 と TGFBR2 のタンパク質発現量を評価した。E.V.群では、TGFBR1 とTGFBR2 のタンパク質発現量は経時的に減少し、8 h 以内に検出不可となった(図 4B)。SMURF2 T249A群では、TGFBR1 と TGFBR2 のタンパク質分解が有意に抑制されたが(図 4B)、SMURF2 WT 群では亢進した(data not shown)。 次に、SMURF2 による TGFBR 分解におけるSMURF2Thr249 のリン酸化の役割を検討した。IP により、GSC において SMURF2 が TGFBR1 と相互作用することが明らかとなった(図 4C)。さらに、内因性の TGFBR1 のユビキチン化は、SMURF2 WT群 で 有 意 に 亢 進 し た が(data not shown)、SMURF2 T249A 群では有意に抑制された(図 4D)。すなわち、SMURF2Thr249 のリン酸化により SMURF2の E3 ユ ビ キ チ ン リ ガ ー ゼ 活 性 が 活 性 化 し、TGFBR1 のタンパク質分解が亢進することで、GSC の自己複製能と腫瘍形成能の抑制に関与するTGF-β-SMAD2/3 シグナルが抑制されることが示された。GSC の自己複製能と腫瘍形成能の調節に重要なSMURF2Thr249 リン酸化修飾の標的因子の解明 次に、TGFBR1 の分解抑制による TGF-βシグナルの活性化が、SMURF2Thr249 のリン酸化によるGSC の自己複製能と腫瘍形成能の制御に関与するか検討した。GSC における SMURF2T249 のリン酸化不活性化によるスフィア形成能の増強が、TGFBR1ノックダウンにより有意に減弱した(図 5A)。さらに、GSC に お け る TGFBR1 ノ ッ ク ダ ウ ン は、SMURF2 T249A 群で短縮した GBM モデルマウスの生存期間をレスキューし、有意な延長をもたらした(図 5B)。最後に、ヒトグリオーマ病理検体において、SMURF2Thr249 のリン酸化は TGFBR1 タンパク質発現量と負の相関を示した(data not shown)。 以上の結果から、GSC の自己複製能と腫瘍形成能を制御する TGFBR1 のタンパク質分解の調節において、SMURF2Thr249 のリン酸化修飾が重要であることが示された。64SOX2 と SOX4 の発現量は SMURF2 T249A 群で有意に上昇した一方で(図 3B)、SMURF2 WT 群では有意に減少した(data not shown)。 次に、GSC の腫瘍形成能における SMURF2Thr249 のリン酸化の影響を in vivo で検討した。GBM モデルマウスの生存期間は、SMURF2 T249A 群で著明に短縮した一方で(図 3C)、SMURF2 WT 群では著明に延長した(data not shown)。さらに、SMURF2 T249A 群では、より大きな腫瘍を形成した一方で(図 3C)、SMURF2WT 群では、より小さな腫瘍を形成した(data not shown)。Empty vector(E.V.)群とSMURF2 T249A 群では、正常脳組織と比較し、腫瘍組織で SOX2 の発現が増加していた。腫瘍組織において、E.V.群と比較し SMURF2 WT 群では SOX2発現が有意に減少していたが、SMURF2 T249A 群では増加傾向を示した(data not shown)。以上の結果より、SMURF2 Thr249 のリン酸化修飾は、GSC の自己複製能と腫瘍形成能を制御する可能性が示唆された。GSC における SMURF2Thr249 リン酸化修飾のメカニズム解析 TGF-β /SMAD 経 路 と BMP/SMAD 経 路 は、GSC の幹細胞性と腫瘍形成性維持の制御において重要な役割を果たしている。したがって、GSC における SMURF2Thr249 のリン酸化修飾が、TGF-β/SMAD 経路と BMP/SMAD 経路を制御するか検討した。TGFBR1 と TGFBR2 のタンパク質発現量とSMAD2/3 のリン酸化は SMURF2 T249A 群で有意に増加した一方で(図 4A)、SMURF2WT 群では減少した(data not shown)。BMPR2 と BMPR1A のタンパク質発現量と SMAD1/5/9 のリン酸化はSMURF2 T249A 群と SMURF2 WT 群で変化はみられなかった(図 4A)。以上のことから、GSC におけるSMURF2Thr249 の リ ン 酸 化 修 飾 は、TGF-β- SMAD2/3 経路を制御している可能性が示唆された。 GSC において SMURF2Thr249 のリン酸化が TGFBRタンパク質分解を制御しているか検討するため、タンパク質合成阻害剤のシクロヘキシミド(CHX)を
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