455488EGJ cancer-specific survivalTotalNo.No. of eventsUnivariateHR(95% CI)MultivariateHR(95% CI)0.31(0.09-0.73)p = 0.00490.41(0.14-0.90)p = 0.023考 察Relapse-free survivalNo. of eventsUnivariateHR(95% CI)MultivariateHR(95% CI)0.55(0.18-1.32)p = 0.190.57(0.29-0.99)p = 0.048110.34(0.10-0.84)p = 0.0160.46(0.21-0.87)p = 0.015175 ReferenceReferenceOverall survivalNo. of eventsUnivariateHR(95% CI)MultivariateHR(95% CI)0.60(0.29-1.12)p = 0.110.55(0.27-0.99)p = 0.0440.57(0.27-1.09)p = 0.091100.43(0.19-0.85)p = 0.0130.47(0.21-0.90)p = 0.0190.42(0.18-0.82)p = 0.010167 ReferenceReferenceTime to recurrenceNo. of eventsUnivariateHR(95% CI)MultivariateHR(95% CI)0.48(0.14-1.23)p = 0.140.40(0.14-0.88)p = 0.0200.35(0.12-0.82)p = 0.0120.36(0.11-0.85)p = 0.017111 ReferenceReference表2 非EBV関連腫瘍におけるMSIステータス別の予後解析(N=363)MSIMSI-H 28MSI-L 24MSS 311 120 Reference Reference独立した集団であることが示唆された。 TCGA データベースの TP53 遺伝子変異の検討では、我々のコホートと同様に、MSI-L 腫瘍において高頻度の TP53 遺伝子変異が、特にそのtruncating 変異が高頻度に検出された(図 5c)。我々は、この TP53 遺伝子変異が MSI-L 腫瘍の indel数増加や CD8+リンパ球浸潤と関連するのではないかと考え、まず TCGA データにおいて TP53遺伝子変異と indel 変異数の関係性を検討したが、相関性は認められなかった(図 5d)。再度我々のコホートに戻り、TP53 遺伝子変異の有無と CD8+リンパ球数の検討を行ったが、TP53 遺伝子変異に特異的なCD8+リンパ球浸潤状況は認められなかった(図 5e、5f)。 本研究により、MSI-L 腫瘍は、日本人の食道胃接合部腺癌(EBV 関連腫瘍を除く)において 6.6% の頻度で存在しており、MSS と比べて腫瘍内リンパ球浸潤が高く免疫原性の特徴があること、さらに、リンパ節転移頻度が少なく予後良好な腫瘍であることから、MSS とは異なる免疫原性を有する分子亜型であることが示唆された。MSI-L は MSS と同等と扱うべきではなく、独立したサブグループである可能性があり、新たな免疫治療剤の開発が期待される。 MSI-L 腫瘍は、使用した 6 種類の MSI マーカー52TCGA における上部消化管腺癌パブリックデータでの検証 MSI-H 腫瘍では、MMR タンパクの不活性化が挿入欠失型の indel 変異を来し、これにより MSI の状況を引き起こすと考えられている 15)。このことを確認するため、TCGA データベースに登録されている非 EBV 関連上部消化管腺癌 435 例の indel変異数を、MSI ステータス別に比較検討した。我々の想定通り、MSI-L 腫瘍では、MSI-H 腫瘍に比べるとその程度はマイルドではあったものの、MSSよりも有意に indel 変異数の増加を認めた(図 5a、p = 0.016)。 また、過去の報告では、MSI-L 腫瘍は、PCR 検査のアーチファクトにより生じる群であり、MSSか MSI-H 腫瘍と正確に診断されなかったエラーの集団であると主張されている 16)。そこで、前述と同様に TCGA データベースを用いて、MSI ステータス別に indel 数と症例数のヒストグラムを作成し、その分布の検討を行った(図 5b)。仮に、MSI-L腫瘍が MSI-H 腫瘍と MSS の集団の寄せ集めであると す れ ば、MSI-L 腫 瘍 の 分 布 は MSI-H 腫 瘍 とMSS の二峰性のピークを示すはずである。しかしながら、MSI-L 腫瘍はそのような分布を示さず、MSS よりも明らかに indel 数が全体的に増加方向へ シ フ ト し た 集 団 で あ っ た。 こ の 結 果 か ら、MSI-L 腫瘍は PCR 検査アーチファクトによりMSS/MSI-H がコンタミネーションした集団であるとは考えにくく、MSS および MSI-H 腫瘍とは
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