臨床薬理の進歩 No.43
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455488表2 非EBV関連腫瘍におけるMSIステータス別の予後解析(N=363)MSITotalNo.MSI-H28MSI-L24EGJ cancer-specific survivalMultivariateUnivariateNo. of eventsHR(95% CI)(95% CI)0.31(0.14-1.23)p = 0.140.35(0.09-0.73)p = 0.00490.41(0.12-0.82)p = 0.012MSS311120ReferenceReference(0.14-0.90)p = 0.023Time to recurrenceNo. of eventsUnivariateMultivariateHRHR(95% CI)(95% CI)0.480.40(0.14-0.88)p = 0.020(0.18-1.32)p = 0.190.340.36(0.11-0.85)p = 0.017111Reference(0.10-0.84)p = 0.016ReferenceRelapse-free survivalNo. of eventsUnivariateMultivariateHRHR(95% CI)(95% CI)0.550.5711(0.29-0.99)p = 0.048(0.29-1.12)p = 0.110.430.46(0.21-0.87)p = 0.015175Reference(0.19-0.85)p = 0.013Reference考  察Overall survivalUnivariateMultivariateNo. of eventsHRHR(95% CI)(95% CI)0.600.550.5710(0.27-0.99)p = 0.044(0.27-1.09)p = 0.0910.470.42(0.21-0.90)p = 0.019167Reference(0.18-0.82)p = 0.010ReferenceHRTCGAにおける上部消化管腺癌パブリックデータでの検証 MSI-H腫瘍では、MMRタンパクの不活性化が挿入欠失型のindel変異を来し、これによりMSIの状況を引き起こすと考えられている15)。このことを確認するため、TCGAデータベースに登録されている非EBV関連上部消化管腺癌435例のindel変異数を、MSIステータス別に比較検討した。我々の想定通り、MSI-L腫瘍では、MSI-H腫瘍に比べるとその程度はマイルドではあったものの、MSSよりも有意にindel変異数の増加を認めた(図5a、p = 0.016)。 また、過去の報告では、MSI-L腫瘍は、PCR検査のアーチファクトにより生じる群であり、MSSかMSI-H腫瘍と正確に診断されなかったエラーの集団であると主張されている16)。そこで、前述と同様にTCGAデータベースを用いて、MSIステータス別にindel数と症例数のヒストグラムを作成し、その分布の検討を行った(図5b)。仮に、MSI-L腫瘍がMSI-H腫瘍とMSSの集団の寄せ集めであるとすれば、MSI-L腫瘍の分布はMSI-H腫瘍とMSSの二峰性のピークを示すはずである。しかしながら、MSI-L腫瘍はそのような分布を示さず、MSSよりも明らかにindel数が全体的に増加方向へシフトした集団であった。この結果から、MSI-L腫瘍はPCR検査アーチファクトによりMSS/MSI-Hがコンタミネーションした集団であるとは考えにくく、MSSおよびMSI-H腫瘍とは独立した集団であることが示唆された。 TCGAデータベースのTP53遺伝子変異の検討では、我々のコホートと同様に、MSI-L腫瘍において高頻度のTP53遺伝子変異が、特にそのtruncating変異が高頻度に検出された(図5c)。我々は、このTP53遺伝子変異がMSI-L腫瘍のindel数増加やCD8+リンパ球浸潤と関連するのではないかと考え、まずTCGAデータにおいてTP53遺伝子変異とindel変異数の関係性を検討したが、相関性は認められなかった(図5d)。再度我々のコホートに戻り、TP53遺伝子変異の有無とCD8+リンパ球数の検討を行ったが、TP53遺伝子変異に特異的なCD8+リンパ球浸潤状況は認められなかった(図5e、5f)。 本研究により、MSI-L腫瘍は、日本人の食道胃接合部腺癌(EBV関連腫瘍を除く)において6.6%の頻度で存在しており、MSSと比べて腫瘍内リンパ球浸潤が高く免疫原性の特徴があること、さらに、リンパ節転移頻度が少なく予後良好な腫瘍であることから、MSSとは異なる免疫原性を有する分子亜型であることが示唆された。MSI-LはMSSと同等と扱うべきではなく、独立したサブグループである可能性があり、新たな免疫治療剤の開発が期待される。 MSI-L腫瘍は、使用した6種類のMSIマーカー52

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