臨床薬理の進歩 No.43
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低レベルマイクロサテライト不安定性の発がん機構の解明と免疫治療バイオマーカーの創出IGF2、RUNX3、CRABP1、NEUROG1、CACNA1GおよびSOCS1)のCpGプロモーターを対象とし、プライマーおよびプローブも報告されているものと同じ配列を使用することとした 12,13)。DNA のバイサルファイト処理は EpiTect Plus DNA Bisulfite Kit(QIAGEN)を、またメチル化のスタンダードとして、Universal Methylated Human DNA Standard(Zymo research、Irvina、CA)を使用した。本研究ではメチル化レベルとして、percentage of the methylated reference(PMR)値を算出することとした。ノーマライゼーションに collagen 2A1(COL2A1)遺伝子を使用して、前述の各 CpG アイランドプロモーターを GENE X とすると、メチル化スタンダードでのGENE X: COL2A1 に対する各サンプルの GENE X: COL2A1 の比を PMR として、PMR が 4 以上の場合を、「メチル化陽性」とした 13)。 LINE-1 のメチル化は、pyrosequence により測定することとした。前述した方法で各サンプルにバイサルファイト処理を施し、PyroMark Q96 CpG LINE-1(QIAGEN)を使用して LINE-1 の 305-331 の CpGサイト(GenBank accession number X58075)を PCR増幅させた。増幅後、PyroMark Gold Q96(QIAGEN)のマニュアルに従いシークエンスサンプルを調整し、PyroMak Q96-CpG ソフト(QIAGEN)によりメチル化シトシンの割合を算出した。全体のメチル化の割合として、4 つの CpG サイトの平均値を使用した。TP53 シークエンス TP53 のシークエンス解読は、前述の方法にて抽出した DNA を鋳型として、HiSeq2500 またはMiSeq(Illumina、San Diego、CA)を使用して行った。DNA 量 が 700μg 以 上 あ る 症 例(N=169)は、Novogene laboratory(Beijing、China)へ解読を依頼した。Novogene laboratory での HiSeq2500 のカバレージ中央値は、24,598 リードであった。バリアントの検出は、Haplotype Caller, UnifiedGenotyperおよび VarScan の 3 つのソフトを使用し、3 つのソフトで検出された場合は、そのバリアントを採用がんの浸潤が粘膜にとどまるため、腫瘍内と腫瘍辺縁部の判別が難しい pT1a の症例(N=17)は、解析の対象から外すこととした。H&E 染色スライド上で、腫瘍内、腫瘍辺縁部それぞれにおいて、リンパ球が多く集積している場所(hot spot)を 3 つずつ選び、CD8 染色スライド上に同じ場所をマーキングした。リンパ濾胞であると明らかに判断できる場所は、hot spot から除外した。CD8 染色スライド上にマーキングした 6 つの hot spot を DP73 デジタルカラーカメラ(Olympus)で撮影し、ImageJ softwareを使って CD8+細胞の数を測定した。解析には、腫瘍内または腫瘍辺縁部 hot spot 3 点の CD8+細胞平均値を使用した。この際、薄切不良のためすぎるため(N=6)、正しく数を測定することができない症例が除外され、腫瘍内および腫瘍辺縁 前述の MSI-PCR assay により MSI-H またはMSI-L と判定された症例のみ、mismatch repair方法で行った。すなわち、4 つのマーカーに対して、それぞれ一次抗体として、MLH1(clone ES05、100 倍希釈、Leica Biosystems)、PMS2(clone A16-4、100 倍希釈、Leica Bioscience)、MSH2(clone G219-1129、MSH6(clone EPR3945、500 倍希釈、D Bioscience)を使用した。免疫染色の評価は、10% 以上の細胞で発現が欠損している場合を「核内 MMR タンパク質の発現欠損」とし、発現が保たれている、もしくは欠損している細胞が 10% より少ない場合を「核内MMR タンパク質の発現あり」として、2 つへ分類することとした。CpG アイランドおよび LINE-1 のメチル化解析 CpG アイランド プロモーター領域のメチル化レベルを、MethyLight real-time PCR により定量した。これまで胃腺癌および大腸腺癌で報告をされた(N=11)、または組織が小さすぎるもしくは大き部 共 に CD8+ 細 胞 を 測 定 し た 症 例 は 329 症 例(90.6%)であった。(MMR)タンパク質の免疫染色を、実臨床と同じ500 倍希釈、BD Bioscience、San Jose、CA)および11 か 所(MLH1、CDKN2A、MGMT、CHFR、CDH1、4545

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