臨床薬理の進歩 No.43
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 2019年に発生したCOVID-19感染は、現時点でも終息の見通しは立っていません。これまで世界の人々に及ぼした影響は大きく、日常生活が一変しました。このような将来に対する不安感が充満する中で、本年2月に突然、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。泣き叫ぶ子供たちや逃げ惑う人々の映像を見るたびに暗澹たる気持ちになります。COVID-19感染の治療法は未だ確立していませんが、COVID-19感染予防薬としてワクチンが開発され、さらに発症後の治療薬も使用可能になり、近い将来、普通のカゼになるものと思われます。一方、人間は戦う動物であり、人間の歴史は戦いの歴史であると言われますが、戦争の無い世の中が理想的であることは言うまでもありません。戦争を予防するためのワクチンがあれば良いのですが、どのような処方が良いでしょうか。世界の英知が集まって解決すべき喫緊の課題です。 臨床薬理研究振興財団が交付する研究奨励金の募集には毎年100を超える応募があり、厳正な審査の結果、約20課題が選ばれます。本編には、2019年度(および2017年度)研究奨励金による研究報告が18編、および海外留学助成金報告が2編、掲載されています。研究報告書には、2年間の研究期間に得られた研究成果が記載されていますが、多くの交付対象者は応募時の研究目的を達成するために努力したものと思われます。編集委員会で各報告書の内容を審査し、必要に応じて著者に確認し、訂正しました。 最後に、本編に掲載されている研究内容は臨床薬理学研究分野における最先端のものであり、今後さらに研究を積み重ね、その成果が臨床の場に取り入れられることが期待されます。是非、ご一読下さい。2022年4月藤村 昭夫ま え が き

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