臨床薬理の進歩 No.43
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アコス71 DMAHDRGアコス総SSNAP000 I120100806040205001000図4 統合失調症非寛解群における抗精神病薬投与量とPANSS総スコアとの関連抗精神病薬投与量(クロルプロマジン換算、mg)15002000250035302520151050100図5 大うつ病性障害非寛解群における抗うつ薬投与量とGRID-HAMD-17スコアとの関連抗うつ薬投与量(イミプラミン換算、mg)200300400500考  察600統合失調症群における抗精神病薬投与量と脳機能的接続との関連 統合失調症群において、抗精神病薬投与量と脳機能的接続との間に、有意な関連は認められなかった。統合失調症寛解群・非寛解群における抗精神病薬投与量と脳機能的接続との関連 14名の寛解群と30名の非寛解群に区分された。なお2名の統合失調症患者は、PANSSデータの欠損により、判定不能であった。寛解群、非寛解群ともに、抗精神病薬投与量と脳機能的接続との間に、有意な関連は認められなかった。大うつ病性障害群における抗うつ薬投与量と脳機能的接続との関連 大うつ病性障害群において、抗うつ薬投与量と広範囲の脳機能的接続との間に、正の相関を認めた(p = 0.013)(図2)。すなわち、抗うつ薬投与量が多いと、脳機能的接続が強くなることが見出された。大うつ病性障害寛解群・非寛解群における抗うつ薬投与量と脳機能的接続との関連 27名の寛解群と52名の非寛解群に区分された。寛解群では、抗精神病薬投与量と脳機能的接続との間に、有意な関連は認められなかったが、非寛解群では、抗うつ薬投与量と広範囲の脳機能的接続との間に、正の相関を認めた(p = 0.028)(図3)。統合失調症非寛解群における抗精神病薬投与量と臨床症状との関連 統合失調症非寛解群において、抗精神病薬投与量とPANSS総スコアとの間に、有意な正の相関を認めた(p = 0.011、図4)。すなわち、症状が重症であるほど、抗精神病薬を多く内服していた。大うつ病性障害非寛解群における抗うつ薬投与量と臨床症状との関連 大うつ病性障害非寛解群において、抗うつ薬投与量とGRID-HAMD-17スコアとの間に、有意な負の相関を認めた(p = 0.031、図5)。すなわち、症状が重症であるほど、抗うつ薬を少なく内服していた。 本研究では、第一に疾患横断的に各疾患の脳機能的接続の特徴を調査し、大うつ病性障害において、主に視床に関連した脳機能的接続の増加が認められた。第二に、統合失調症群における抗精神病薬投与量と脳機能的接続との関連、および、大うつ病性障害群における抗うつ薬投与量と脳機能的接続との関連を調査し、大うつ病性障害群において、抗うつ薬投与量と広範囲の脳機能的接続との正の相関を見出した。またこの結果は、対象を非寛解2929

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