NB 1ASSNRNP40 FLASP6-MPAraCCDNRMTXcScreen resultCCAR1PRPF39VCRT2EBUD9AARLCNAFrf9XHDUBE2D3CLCG2 P P P 2 R 1 A C7orf26 C19orf43N E LF BSensitivityResistanceGene-drug interactionsabWRPHPAX5T1DCC16ToR8I0P1P3PM1DDP6GFAM図 1 CRISPR-Cas9 システムを用いたゲノムワイドの化学療法剤と遺伝子の相互作用のスクリーニングa REH B細胞性ALLを用いたテトラサイクリン誘導性CRISPR–Cas9ノックアウトスクリーニングのシェーマ b 7つの化学療法剤を用いたそれぞれのCRISPRスクリーニングで得られた多彩なgRNAの選択プロファイルが異なる遺伝子を表したサーコスプロット。緑色のリンクは薬剤感受性を、赤色のリンクは薬剤抵抗性を示す。M A F: マホスファミド、V C R: ビンクリスチン、6-MP: 6-メルカプトプリン、MTX: メトトレキサート、AraC: シタラビン、DNR: ダウノルビシン、LASP: L-アスパラギナーゼ。c CRISPRスクリーニングで得られたPPM1D遺伝子の順位[log2(Fold Change)]。マイナス方向に大きいほど薬剤感受性が、プラス方向に大きいほど薬剤抵抗性が亢進するという結果。この際に、1 細胞につき、1 つのガイド RNA が導入される感染効率を用いたため、Cas9 を誘導発現すると、1 細胞につき 1 つの遺伝子のみがノックアウトされる細胞集団を得られ、ALL で用いられる7 つの抗がん剤を 1 剤ずつ用いてスクリーニングを実施した(図 1a)。興味深いことに、p38–p53シグナルのネガティブフィードバック機構に関与する Protein Phosphatase、Mg2+/Mn2+ Dependent 1D(PPM1D)遺伝子をノックアウトすることによって、メトトレキサートと L- アスパラギナーゼ以外の 5 剤に対して薬剤感受性が亢進されるという結果を得た(図 1b、c)。 本研究の仮説は、1)PPM1D は ALL 治療におけるターゲット分子となる、2)PPM1D を阻害することによって化学療法剤の治療効果を増強する、3)PPM1D は再発 ALL 患者に対する新規治療戦略の候補となりうる、というものである。 この仮説を検証するためには、単に薬剤感受性を細胞株等で確認するだけではなく、再発 ALL の病態および治療における PPM1D の関与を分子学的に考察する必要がある。以上を背景とし、本研究の目的は、① ALL 細胞に対する PPM1D 阻害剤の治療効果を検証すること、② ALL 細胞に対する18ではまだ正式な結論は発表されていないものの、その後の研究によって全生存率については、ミトキサントロン群とイダルビシン群で有意な差は認めなかったという報告がなされている 4)。このように、再発 ALL 患者に対して、さらなる抗がん剤による単純な治療強化は効果が望めないだけではなく、治療関連毒性を増悪する可能性が高くなるため、効率の良いターゲット療法の開発が望まれている。 近年のゲノムの網羅的解析研究によって、再発ALL のゲノム異常について多くの知見が得られつつあるが 5)、再発 ALL で見つかるほとんどの変異遺伝子の病態における意義は分かっていない。以上より、ALL の病態進行、再発および化学療法抵抗性の機序を解明することが本疾患研究の最優先事項である。我々は、再発 ALL に関連する遺伝子変異が、どのように化学療法抵抗性のドライバーとなるのかを調べ、治療ターゲットを発見するために、CRISPR-Cas9 技術を用いたスクリーニングを実施した 6)。BCP-ALL 細胞株(REH 細胞)にテトラサイクリン誘導性の Cas9 遺伝子を導入し、ピューロマイシンで選択後にヒトの全ゲノム、つまり、約 2 万遺伝子を対象とする GeCKO ライブラリ(ガイドRNA ライブラリ)をレンチウイルスで感染導入した。GeCKO librarylentiviral infectionChemotheraphy 7 day IC905 daysDoxycyclineVehicleTet-On Cas9lentiviral infectionPuromycinSelectionREH B-ALLTet-On Cas9DrugMAFVCRlogFC-1.47-1.056-M PMTXAraC-0.670.7-1.14-0.98DNRLASP0.26
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